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    shiba

    @mie_v0_0v
    主にobm、留♂〆のSS置いてます。
    たまーに絵も描きますが、アナログなので、落書きのようなものがほとんどです。
    反応いただけると嬉しいです。

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    shiba

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    留♂〆です。
    最近暑いので、夏のお話でも。
    魔獣イベストからのSSです。

    捏造ありますので、ご理解いただける方だけお進み下さい。

    #obmプラス
    obmPlus
    #obeymemc

    アツアツな、夏。暑い…。
    とんでもなく暑い…。
    魔界というのは、常にヒヤッとしている所ではないのか。
    今日はとにかく、うだるように暑い。
    俺は、泊まりに来たものの放置されっぱなしの部屋で暇を持て余し、シメオンのベッドでひたすらゴロゴロしていた。
    その時、急に、俺の頬がキンキンに冷えた何かで挟まれた。

    「つめたっ!」

    振り向くと、両手にアイスを持ったシメオンが、ベッドの縁に腰かけてこちらを見ていた。

    「えへへ。一緒に食べない?極寒アイス、期間限定ヘルコーヒー味」

    「食べるっ!」

    俺の大好きなコーヒー味をゲットしておいてくれるとは、さすが、オレの嫁シメオンである。
    俺は、体を起こし、シメオンの手からアイスを受け取る。
    二つ一緒に入っているシェイク状の吸うタイプのアイスを、シメオンとはんぶんこ。
    でも、ヘルコーヒー味ということは…

    「うわ、アイスとは思えぬ苦さ」

    『あくまで、好きな人が淹れてくれた味のイメージです』とパッケージに書いてあるだけあって、かなり苦い。

    「ホントだ。でも、冷たくておいしいね」

    「うん、生き返るー」

    二人で食べると、シメオンがヘルコーヒーを淹れてくれた時の味と錯覚する。
    愛情たっぷりの苦い苦いヘルコーヒー。
    俺はそんな想像をしながら、二人で向かい合って、極寒アイスを無言でチューチュー吸う。
    他愛ない二人の時間が、何よりの幸せ。
    ほぼ同時に食べ終わり、シメオンがゴミを集めて捨ててくれた。
    すっかり汗の引いた俺は、シメオンの腕を掴んで引き寄せる。

    「うわっ」

    「苦いもの食べたら、甘い物食べたくなってきたなー…」

    自然に抱き寄せて、そのまま顔を寄せてキスをする。
    舌を入れると、さっき食べたアイスのコーヒー味がお互いの口の中に広がる。
    でも、シメオンの舌からする味は、なんとなく甘い気がした。

    「…ん…んん……また、そーやってすぐキスするんだからっ」

    しばらくなすがままにされていたものの、流されてはいけないとシメオンが唇を離す。
    苦言を呈するものの、頬は紅潮し、照れとは違う感情が見える。

    「いーじゃん、ちょっとぐらい」

    そう、今日は珍しく続きをしようとはしていない。
    ただ、キスしたいなー、と思ったから、しただけ。

    「ふぁぁ…眠くなってきちゃった。シメオン、お昼寝しよ?」

    「えっ…うわぁ!」

    天気の良い昼下がり。
    おやつを食べて糖分を摂取したら眠くなってしまった。
    俺は、欲望のままに生きるお子ちゃまなのだ。
    シメオンを抱きしめたまま、ゴロンと横になる。

    「…シメオン、いい匂いがする。甘い匂い…」

    抱きしめたシメオンの首筋に顔を埋めると、いつもよりも甘い香りがする。
    食べたくなるような、いい匂い。

    「あぁ、バニラエッセンスかな?今、クッキー焼いてて、焼き上がるのに時間かかるから、休憩ついでにアイス持ってきたんだよ」

    「そうだったんだ。うん、いい匂い。この匂い好きだなぁ」

    今日は、シメオンが一人忙しなく動いているな、と思ったら、お菓子を作っていたらしい。
    泊まりに来たのに、放っておかれた理由がわかった。
    きっと、俺の本来のおやつは、その焼きたてのクッキーなのだろう。
    嬉しくて、さらにギューッと抱きしめる。

    「ちょっとっ、俺、オーブン見に行かないと。クッキー焦げちゃう」

    シメオンが俺の腕から抜けようと胸を押しのけようとするが、俺が離すわけがない。

    「いいからいいから。シメオンのことだから、タイマー通りでちゃんと焼き上がるって。それより、ちょっとだけ、お昼寝しよ?」

    シメオンが、料理で失敗したと聞いたことはない。
    だからたぶん、このまま放っておいてもおいしいクッキーが焼き上がるはずだ。
    ただ、シメオンはどうしてもオーブンの様子が気になるらしい。
    そんな時は、俺の伝家の宝刀、上目遣いで甘えた声を出す。
    これをすれば、シメオンはどんな俺のわがままも聞いてくれる。

    「…もう、しょうがないなぁ。ちょっとだけね?」

    ほら、言った通り。
    シメオンが俺の腰に手を回し、お互いギュッとくっついて目を閉じる。
    クーラーのない部屋で、全開にした窓から入ってきた生ぬるい風が、レースのカーテンを揺らす。
    そんな風さえ心地よいと感じるほどの猛暑の中、俺たちは、お互いの体温に包まれて眠る。

    ――――――――――

    「おーい!シメオン、いるのか?クッキー焼きあがってるぞ…?」

    どれくらい時間が経っていたのか、遠くでルークの声がする。
    ぼんやりとした頭で目を開けようとした時、いきなり、シメオンに突き飛ばされて、ベッドから落ちそうになった。

    「おわっ!!」

    扉を開けて入ってきたルークの姿に飛び起きたシメオンが、くっついているのを見られたくなくて、とっさに俺を突き飛ばしたらしい。
    照れ屋さんなシメオンの気持ちはわかる。
    わかるが、もうちょっと優しくしてほしかった。

    「ル、ルークっ!!ありがとう、ちょっと居眠りしちゃった」

    「そうか、ならいいんだけど。オーブンかけたままでキッチンにいないから、探したぞ」

    「う、うん、ごめんっ」

    シメオンは、ルークと一緒に慌てて部屋を出ていった。
    ちぇ、せっかくのラブラブタイムももう終わりかー。
    俺はまた、ベッドでゴロゴロを再開する。

    しばらくして、シメオンが、きれいにクッキーが並べられたお皿と紅茶を持って戻ってきた。

    「持ってきてくれたの?」

    てっきり、食堂でみんなと食べると思っていたので驚いた。

    「うん。…二人で食べたくて焼いたから」

    なんて可愛いことを言ってくれるんだ!
    二人きりで過ごしたいと思っていたのは俺だけじゃないと知り、舞い上がるような気持ちになる。

    「はい、どうぞ」

    ポットから紅茶を注ぎ、シメオンが差し出してくれる。
    今日は暑いので、氷をめいっぱい入れたグラスに注いでアイスティーにしてくれた。

    「あー…生き返るー」

    「よかった。クッキーも食べて?」

    冷たい紅茶で喉を潤したあと、俺はシメオンに向かって口を開ける。

    「あーん」

    「…もう。あーん」

    一言文句は言うくせに、ちゃんとあーんしてくれる。
    星型のクッキーは、シメオンから香ったバニラエッセンスが効いていて、とてもおいしい。

    「はい、シメオンもあーん」

    「…あーん」

    俺が同じ星型のクッキーを差し出すと、シメオンは素直に口を開けて食べてくれた。
    二人して、もぐもぐしながら顔を見合わせて微笑む。
    それからは、お皿の上のクッキーがなくなるまでお互い食べさせあった。

    なんでもない夏のある日の、なんでもない出来事。
    二人で過ごすなんでもない日が、俺にとってはかけがえのない時間だ。
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