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    be_cocoon

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    POIPOI 71

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    PROGRESShttps://poipiku.com/2723782/5473264.html つづき
     今日は二学期の終業式だった。午前で式は終わり、塾が開くまでは時間がある。一旦家に帰ろうと支度をしていたところで、教室に百瀬からの来訪があった。百瀬は大掃除中に校舎裏の倉庫で見つけたという錆びれたスコップを二つ握って、「いいもの見つけたからさ、これでなんか埋めようよ。タイムカプセル的な」と提案したのだ。
    「……どうしてこんな寒い日にこんなことを……」
     百瀬の住むアパートの裏には、小さな空き地のような砂利と背の高い雑草に覆われたスペースがある。久しぶりに通学路を二人で帰り、枯れた紫陽花を摘み取り、いつもの交差点を通り過ぎた後、そのスペースへ連行された。寒空の下しゃがみ込み、砂利をかき分けると覗く湿った土を言われるがまま掘り進めながら、せめてもの抵抗として呟く。そもそも、寒いだとか意味不明だとか関係なく、こんなことをしている場合ではないのだ。もう十二月も終わりに差し掛かっている。年が明ければ、高校受験はすぐそこだ。本当は、すぐさま家に帰って勉強をすべきなのだ。でも、いつもの百瀬との登校時間に、俺は受験や成績の文字を出したことがなかった。百瀬の出席日数について心配したことはあっても、自分の志望校や模試の判定の話をしたことはない。だから、今回も受験勉強を理由によくわからない誘いを断ることはできなかった。冬が寒くて百瀬が意味不明なのはいつものことだから、断る理由にはならない。
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