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    onekosama_1539

    @onekosama_1539
    主に司類描いてます。
    ボツと表にあげれないのをあげる用です。

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    onekosama_1539

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    司類/人間🌟×狐🎈
    最後は🌟が狐or狛犬になる予定です。
    だいぶ前に書いていたのですがとりあえず途中ですがあげます。もしたしたら続き書きます!

    ある神社の神様は"おキツネ様"、"お稲荷様"と呼ばれ近隣の人々に親しまれ長い間廃れることなく参拝され続けていた。最近はネットで"とある噂"が囁かれ参拝する人が徐々に増えており、その"とある噂"というのはここでお宮参りをして写真を撮ると必ず赤ちゃんの笑顔の写真が撮れるというものだ。それもそのはず、その神社に住まう稲荷の遣いである天狐は人の笑顔を好み、心の清い産まれたばかりの赤子には自らの姿が認識できるのを利用して泣く赤子を自らの力で作り出したでんでん太鼓やら風車、さらには赤子が興味を持てば自らの尾や耳を使ってあやしていたのだ。その天狐の真名は類といい、4本の尾と頭の上のピンと立った耳を持ち毛並みは美しく普段は人の形をとっている。かなりの長生きでその気になれば人に姿を見せることもできるほどには力が強い。ごく稀に波長が合い、心の清い者にはその姿をみることができるのだが、男だろうが女だろうが見惚れてしまうほどに見目がいい。常に口元には緩く笑みを浮かべ、毎日見えることがなく感謝などされないにもかかわらず力を使って風を操り神主の掃き掃除を手伝うなどしていた。

    今日も今日とて掃き掃除を手伝いふらふらと自由気ままに境内を歩いていると本日1人目のお宮参りの一行がやってきた。類は引き寄せられるように近づくといつもの如くついて行き、儀式を見守り写真撮影を見届けようとしていた。儀式中、赤子はキャッキャと元気な様子で類は僕の出番は特にないかなと見守ることに徹しようとしていた。しかし撮影が始まってすぐ、カメラのフラッシュのせいで赤子はその光に驚いて目をぱちくりとさせた後、泣き出してしまった。それもかなりの大声で。長く生きてきた中でもこれほどの大声は初めてだった類は思わず毛を逆立てて耳をへたりと折ってしまった。その時、片方の耳にのみ付けていた飾りについた鈴が鳴り赤子は類の存在に気づくとじっと見つめ始めた。赤子の声の衝撃で目も閉じていた類はふと視線を感じ目を開けるとうるうると目に涙を溜めた赤子がこちらをじっと見ている。不言色から桃色の綺麗なグラデーションの髪の毛にぱっちりとした暖かみのある色合いの目の可愛らしい赤子は声も出さずただうるうるとした目で類を見つめていた。両親はなぜか今度は静かになった赤子にどうしたのだろうとあたふたしており、類は僕の出番かなとその赤子に近づいていく。類が目の前にくると赤子は手を伸ばしてきたが類は特に何かを作り出していたわけでもないため何に反応しているのかと考えていた。きゅっと優しい力で耳元が引っ張られる感覚がして赤子に意識を戻すとその小さな手に握られていたのは己の耳飾りで、先程こちらに気づいたのも自分が耳を動かしたことで揺れたこれがきっかけかと理解し、ぴこぴこと意識的に耳を動かして猫をじゃらすようにし赤子をあやし始める。すると赤子はキャッキャと喜んで笑顔になりこれで大丈夫と類は赤子から離れて今度はカメラに近寄っていく。そうして離れていく類を不思議そうに見つめる赤子。類は赤子が己から目を離していないのを確認するとカメラのレンズの近くに頭を傾け、先ほどよりも激しめに耳をぴこぴこと動かしブンブンと耳飾りを揺らし始めた。それに赤子は喜んで可愛らしい笑顔を見せ、それをチャンスだと撮影が再開し無事に笑顔の写真が撮れた。撮影が終わると類は赤子に近づき己の口元に狐の形をさせた手を寄せ、その狐形の手の鼻先の部分をコツンと赤子の額に当ててやる。これも類がいつも行うことのひとつでささやかな加護を与えるというものだ。そして軽い足取りで数歩下がった類は撮影時に父親が掲げていた紙に書いてあったのを思い出しながら赤子に声をかける。
    「元気に大きくなってね、司くん」
    そして一行が帰るのを見送る。いつも通りの流れである。お宮参りに来た赤子はたいてい七五三でもこの神社を訪れる。それをあの時の子が大きくなったなぁと眺めるのが類の楽しみの一つである。しかしお宮参りの時と違うのは赤子がまっさらな状態ではなく、俗世間に染まっていく途中段階にあり類の事を認知できなくなってしまっていることだ。だから類は最後に声をかける時はその子の名前を最初で最後、一度だけ呼ぶようにしていた。名前を呼ぶことで加護を少しだけ強固にする役割もあるが所詮お別れの挨拶のようなものだ。
    声をかけ終わったところでちょうど帰る用意ができたらしい赤子の両親が歩き出す。鳥居をくぐって敷地から出て行く一行に手を見送る類。赤子は母親の肩越しにその類を見つめており、目が合った類は微笑みながら手を振る。すると赤子は太陽のような晴れやかな笑顔を類に見せてくれた。何だか今日はいい日になりそうだと温かな気持ちになりながら類は境内の散策に戻っていった。

    それから何事もなく5年が経ち、いつものように類が境内を散歩していると何やら正面の方から元気な声が聞こえてきた。
    「おや、ここまで声が届くなんて元気な子だねぇ。どんな子だろう?」
    はっきり言葉を話せているためどうせ姿は見えないからと屋根の上をぽんぽんと飛ぶように移動して近づいて行くと、見えたのは何時ぞやに見た覚えのある不言色から桃色のグラデーションの髪。
    「司くん……?だったかな?元気に大きくなったね。2年後にまた会えたらいいな」
    そう独りごちて類はその場を去ろうとした。しかしどういうわけかその子供と目が合ってしまったのだ。動揺して建物の裏に降りて先程のは偶然だろうかと思案する。もし見えていたのならどうしようと。どうせ見えないと思っていたため屋根の上から見下ろしていて、その上耳も尻尾も出しっぱなしにしていたのだ。もしかしたら怖がらせてしまっただろうか、そうだったら可哀想なことをしたなと耳を下げて気落ちしていた。すると突然類の服が引っ張られて考えに耽って飛ばしていた意識を戻すと目の前には先程目が合ってしまった子供がいた。
    「だいじょぶか!?やねの上からおちただろう!?いたいか??」
    そう言って類の顔を覗き込み心配そうに眉を下げている。一瞬戸惑った類だが長く生きてきた中で見える者に声を掛けられたことがない訳ではないためすぐに平常に戻り、しゃがんで子供と視線を合わせて話す。
    「大丈夫だよ。どこも痛くないよ」
    「よかった!」
    「ふふ、心配してくれてありがとう。僕は類。おキツネ様ってみんなからは呼ばれてるよ」
    「おキツネさま……この神社のかみさま!?」
    「ふふ、正確には神様の遣いかな。けどここを守ってるのは僕だからあながち間違いでもないかな」
    「じゃあさっきの落ちたんじゃなくてとんだのか!?!?」
    「うん。だから心配しなくても大丈夫だよ。本当に怪我はしてないんだ」
    「おれも!おれもとんだりできるか!?」
    「うーん、危ないからやめた方がいいかな」
    「そうか……とんだの見せたら咲希もよろこんでくれるかなと思ったんだが……」
    「咲希…?」
    「おれのいもうとで、からだがよわくてずっと病院にいるんだ……わらわせてあげたくて…」
    「そっか、優しいんだね。司くんは」
    「おれは咲希のびょうきをなおしてあげられないから………ん?なんでおれの名前しってるんだ!?!?」
    「実はね、僕は生まれたばっかりの君と一度会ってるんだよ。その時に名前を知ったんだ」
    素直に類の言うことを信じてくれるのは嬉しいけれど悪い大人について行ってしまわないかと少し心配になりながらもぽんぽんと会話が進んでいく。出会ってまだ10分くらいしか経っていないのに人懐っこいのか司は類に心を開いて沢山のことを話す。今度妹に見せるんだと息巻いているショーを見せてもらって、それにアドバイスをしたりと随分長いこと話していた。不意に司を呼ぶ声が類の耳に届く。人の聴力では聞こえないくらいの、遠くからのものであったが人ならざる者であり、キツネの耳を持つ類にははっきりと聞こえるものでピクンと類の耳が反応して揺れた。それを見た司が何かあったのかと類に問いかける。
    「随分話し込んでしまったね。君のご両親が探しているみたいだ。正面に向かう近道はこっちだよ。送ってあげよう」
    「ありがとう!また会いに来てもいいか!?」
    「構わないよ。けれどひとつ約束をしてくれるかい?」
    「?なんだ?」
    「今日僕とここで会ったのは僕達だけの秘密にして欲しいな。普通の人には僕の姿は見えないし、僕もあまり目立ちたくないんだ」
    そう、目立っていいことなどないのだ。過去に何やら不思議なものが出ると噂された寺は夜中に祠の所まで侵入されたり、一種の心霊スポットのような扱いを受け、人が来てはゴミを捨てられて荒らされたのを類は知っている。そしてその寺を守っていたモノの怒りに触れ、暫く付近の地域は災害級の大雨に見舞われたのだ。類とてこの神社を守る神の遣いだ。荒らされたらそれ相応の報いは受けてもらうつもりでいる。流石に災害なんて大規模なことを起こす気はないが。
    「わかった!やくそくする!」
    そんな類の懸念を知らない幼い子供は元気よく承諾し、「ここから出たら手を振ったりしちゃダメだよ、バレてしまうから」という類に「またこんどな!」とこれまた元気に挨拶をして両親の元に向かって行った。その手には類が手作りしたお守りが握られている。別れ際に妹さんにあげてねと類が持たせたのだ。免疫を上げるなど病気に対抗する力を強める手助けになる力を宿したものである。神々も気まぐれに加護を与えるのだ。その遣いである類とて例外ではない。素直で真っ直ぐなあの子供の願いの手助けをしたまでだ。

    それからというもの司は1週間に1回ほどのペースで類に会いにきていた。周囲の子や大人は妹さんのためにお祈りをしているのだろう、なんで健気ないい子なんだと微笑ましく見守っており怪しまれることは一切なかった。そんなこんなで司は類の元に通っていたのだが中学になったあたりから部活に妹の病院通いで類の元に頻繁に訪れるのが難しくなった。
    「類!すまん、暫く忙しくて来れそうにない!!」
    「仕方ないさ、中学生ともなれば流石に忙しくなるからね。暇な時にでもおいで。僕はずっとここにいるから」
    「………あぁ、ありがとう」
    司と類がそんな会話をしたのがもう3ヶ月も前になる。今までずっと1人だったのに、それが普通だったのに少し寂しいなと暫く会っていない司を思い出して独り言をポツリと呟く類。大昔、まだ人の形をとる前、類はずっと1人だったのだ。キツネは悪戯をする、誑かすと言われ遠巻きにされてひとりぼっちで気付けば長い月日が経っていた。泣いている子を助けたり、道に迷った人を案内したり、冬道で凍える小さな動物に寄り添って温めてあげたり、そんな事をしていたらいつの間にか善狐になっていた。そしてお稲荷様に遣えることになり人の形を得た。それが類だった。こんなに長い付き合いになるような相手はいなかったのだ。だからこそこの感情は初めてのもので類はどう扱ったらいいのかわからない。
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    onekosama_1539

    MAIKING司類/人間🌟×狐🎈
    最後は🌟が狐or狛犬になる予定です。
    だいぶ前に書いていたのですがとりあえず途中ですがあげます。もしたしたら続き書きます!
    ある神社の神様は"おキツネ様"、"お稲荷様"と呼ばれ近隣の人々に親しまれ長い間廃れることなく参拝され続けていた。最近はネットで"とある噂"が囁かれ参拝する人が徐々に増えており、その"とある噂"というのはここでお宮参りをして写真を撮ると必ず赤ちゃんの笑顔の写真が撮れるというものだ。それもそのはず、その神社に住まう稲荷の遣いである天狐は人の笑顔を好み、心の清い産まれたばかりの赤子には自らの姿が認識できるのを利用して泣く赤子を自らの力で作り出したでんでん太鼓やら風車、さらには赤子が興味を持てば自らの尾や耳を使ってあやしていたのだ。その天狐の真名は類といい、4本の尾と頭の上のピンと立った耳を持ち毛並みは美しく普段は人の形をとっている。かなりの長生きでその気になれば人に姿を見せることもできるほどには力が強い。ごく稀に波長が合い、心の清い者にはその姿をみることができるのだが、男だろうが女だろうが見惚れてしまうほどに見目がいい。常に口元には緩く笑みを浮かべ、毎日見えることがなく感謝などされないにもかかわらず力を使って風を操り神主の掃き掃除を手伝うなどしていた。
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