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    オサハタ

    長い文章はpixiv↓
    http://pixiv.net/users/35609325
    カプものR18はピクブラにだったり↓
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    オサハタ

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    カズヤギ(同期で同い年設定、若い頃、まだ単なる友人のとき、ヤギヤマさんに元カノいる)

    #カズヤギ

    照準器を覗く瞳「でっ……っか!」
    僕の部屋に入るなり、カズサはそう驚いたあと、
    「え? これなら俺も寝れない?」
    と聞いてきたが、
    「駄目だ、お前は床だ」
    僕はぴしゃりと言い放った。
     
     同期大勢との酒も交えた会食の後、『帰るのだる〜い、お前の部屋近いだろ? 泊めて?』と、無遠慮に肩を組み擦り寄ってきたカズサに
    「床でいいなら」
    とつっけんどんに返したものの、それにも『おっけ〜い!』と陽気に笑う、自分より背丈が勝る相手を半ば引き摺って帰宅した自室で──

     僕が快適に日々眠るため、かなり無理をして購入した、クイーンサイズの寝台を見たカズサの反応が、先の言葉だ。

    「床でいいと言うから泊めてやるんだ」
    「え〜? でも俺寝相はいいよ?」
    「関係ない、これは、僕がひとりでゆっくり眠るためのものだ」
    「まったまた〜、カノジョとか連れ込んでんでしょ? 結構お前隅におけないの知ってるよ?」
    「確かにこれまで付き合った相手が複数いるのは否定しないが、その誰ひとりとしてそのベッドどころかまずこの部屋に入れていない、ほぼ眠るだけの場所であって娯楽らしいものは置いていないからな」
    上向けた手のひらを振って示した部屋は件の寝台以外は──自分で言うのも何ではあるが──殺風景なものだ。
     置いているのは必要最低限のもののみ、そう努めて過ごしている。
     ……その理由が、実は片付け下手で実家時代はしょっちゅう小言を喰らっていたから、というのが本当のところではあるのだが、今それを言う必要はないだろう、無関係なのだから。
     だからこれ以上突っ込むなよ、という、半ば自棄も含めた僕の視線を受けて、カズサは──
    「え、じゃあこの部屋入ったの、俺が初めて?」
    と、目をまんまるくした。
     そんなに驚くことだろうか。
    「そんなに驚くことか?」
    思ったままを口にした僕を、カズサは少しの間ぽかんと見つめ、それから──
    「……ぃぃやったー ──っぶぉっ」
    「馬鹿野郎! 声が大きい!」
    諸手を挙げて歓声を上げる口を慌てて塞いだ。
    「苦情が来るだろう」
    「ごめぇん」
    冷や汗で背中が不快な此方を他所に、カズサは謝りながらも顔はまだへらついている。呆れたものだ。
    「風呂も使わせてやる、その間にどうにかお前の寝る場所を作っておくからさっさと入って少しでも酔いを覚ましてこい」
    浴室を指差し、この部屋唯一の収納棚から出したタオルを顔目掛けて投げ付けた。
    「……っはは、分かったよー、んじゃ借りるわぁ」
    カズサはそう残して、素直に浴室に向かった。

     やれやれ、と吐いた溜息ひとつ。

     ──の、すぐ後で。

     僕は、『ああは言ったもののさて、モノのない中でどうやって最低限の寝床を作ろうか』よりも早く、

     ……なんであいつ、あんな笑い方をしたんだ?

     と、考えていた。

     あんな、とは、投げ付けたタオルがカズサの手元に落ちたとき、一瞬だけ見えた、もの。

     あれはまるで、まるで……

    「っ、はは!」
    無意識に溢れた笑い、どうやら僕もカズサをどうこう言えやしないようだ、きっと酔っている、自意識では然程でもないと思っているが、周りに付き合ってそれなりに飲んだのだから。
     そうだ、そうに違いない。
     カズサが上がったら僕もさっさと風呂を済ませて寝てしまおう、その為に、無いなら無いなりにあいつの寝床を拵えて、カズサに『お前の場所はここだ』と、宣言してしまえばいいんだ。
     気持ちを切り替えて、床に兎にも角にも布であればいいのだろうとあれこれ敷き並べていた僕は──

     

     やがて、己の聖域である寝台に、今は単なる同期で友人であるだけの相手が、乗るのを、許す日が来るとは──

     

     このときはまだ、知る由もないのだった。
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