舞台、アトランティス
カップリングなし
オチが…助けて
ノミと石頭を使い一つの石を削る。頭の中に思い描く形になるように、余計な部分を削らないように慎重に、だが大胆に手を動かしていく。村正は世話になっている天秤の女神の石像を恩返しだと、依頼された仕事だと言い仕上げていく。もはや彼の仕事場ともなったこの場所に、訪問者のコツコツと革靴が石の地面を叩く音が木霊する。
「今日も今日とて女神像を彫っているのか」
「あん?まぁな、依頼されたにはきっちりこなすさ。一日一体をノルマにしてる」
「一日で出来るクオリティではない気もするが…」
彼はこの部屋の壁沿いに並べられている女神像を見渡す。
「そこは儂の腕の見せ所ってな」
「職人肌、というやつか。石像は教会にも置かれているが、こうもしなやかで逞しい物は中々見ない」
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