夢をみる 降り立った春の森の草木が、地面が、パキパキと音を立てて凍りついた。少し離れた地面に転がる男は微かに白い息を吐いているものの、手足の肉を食いちぎられ、腑を溢し、辺りに死の匂いを濃密に漂わせている。
事の成り行きはわかっていた。今目の前で死にゆこうとする男が我が館から帰った後に教会を破門になったことも、その後も馬鹿正直に全て話すものだから人間の扱いを受けなかったことも知っていた。愚かだ。あのとき、私の心臓を貫く好機を逃さなければ、教会やそこらの人間に馬鹿正直に全てを話さなければ、ボロボロの身体で“悪魔”を庇ったりしなければ。あまりにも愚かだ。
気づけば私は血溜まりに両膝をついて目の前の男に問いかけていた。
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