ごめんもありがとうも、今だけは「藍湛、藍忘機!なんで俺より先に死ぬんだよ…!」
冷えた体を抱きしめ、魏無羨は涙が枯れるほど泣いた。
それから数日後、固くなった遺体から離れようとしない彼の為に、藍啓仁は琴を置いた。魂を呼ぶ旋律だ。
「藍先生…?」
食事をしようとしない魏無羨の体はやせ細り、衰弱していた。
「魏嬰、忘機の声を伝える」
「え…」
魏無羨は空を仰いだ。どこにも藍忘機の声は聞こえない。姿さえも見えない。
「ど、どこにいるんだ?藍湛はどこに…!」
「見えないだけだ。すぐそばにいる」
藍啓仁は二音の音を奏でた。すぐに数音の音が返ってくる。
「食べて、養生をするように」
夫らしい言葉を聞いて、魏無羨はボロ、と涙が出る。
「ごめん、藍湛。俺、ちゃんと食べるよ」
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