救援に馳せる(傭兵とオフェンス) 12月15日午後、実験台を移動しに向かった処刑人は、9-?-3が行方不明になっていたことに気づいた。同時に、処理室でこのメモを発見。
その後の調査を経て、荘園内で9-?-3が残した痕跡が数発見された。その行方は分からないままだ。外部の人員を引き入れて調査を行ったのかもしれない。
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処理室を脱出したナワーブが当面の住処と定めたのは、森の中で忘れられたようにある猟師小屋だった。どこかしらが破れているのか、風の吹くたびに雪混じりの冷たい風が吹き抜けていく吹雪めいた音が響いてくるものの、曇っている窓ガラスはヒビが入りつつ健在であることが不幸中の幸いだった。追手がある以上、迂闊に火を焚くことはできない。ヒマラヤの気候の元で育ち、職業柄もあって過酷な環境下の生活が長いナワーブは兎も角、負傷したスポーツマンには今の状況すら十二分に過酷なものだろう。
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