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    広島出張は大変よねという話。CP要素はありませんが、黒研の者が書いています。
    地方住みの方による協会員の出張話、たくさん読みたいです。

    #黒尾鉄朗
    tetsuroKuroo
    #協会員の出張
    #黒研
    #腐向けHQ
    hqForRottenFood

    出張で行きたくない県ナンバーワンだとかツーだとか 多分に漏れず、黒尾も広島出張が億劫だった。東京からだと新幹線では4時間かかり、飛行機で行けば空港があまりに辺鄙な所にあるので、中心地へのアクセスが悪い。結局似たりよったりの時間がかかり、移動だけでくたびれる。日帰りを強行すると翌日は体が重い。広島県は地味に、確実に、ビジネスマンに嫌われている。
     黒尾は出張先でのご当地グルメを楽しみたい方だが、広島のグルメがどうにも好きになれないのも理由の一つだ。広島のお好み焼きは食べづらい。生地と野菜と麺と卵に一体感がなく、口に到達する前に分離する。麺だけ、野菜だけ、卵だけ、などを食べることになり、いまいちおいしいと思えない。某アーティストが好きだという有名なおにぎりのあるうどん屋にも行ったが、なんということはない。うま味調味料を惜しみなく使っているからおいしいだけ、というのが黒尾の評価だ。うどんも駅そばクオリティだ。
     牡蠣も有名だが、同じ瀬戸内でも岡山や兵庫で食べた牡蠣の方がクセが少なくあっさりとして黒尾の好みだった。
     そしてお土産の問題もある。もみじ饅頭はとにかく面倒だ。見た目も味も同じ菓子を多くのメーカーが販売しており、それをすべて土産物屋に置いているのだ。なぜこんなことになってしまったのか、理解に苦しむ。
     パッケージもそれぞれ違うことは分かるが、これという個性がない。
     それなのに、菓子好きはなぜか推しメーカーを持っている。にしき堂が無難だが、気の利いたお土産を買ってくる黒尾さんという評価を得ているだけに、無難に走るには抵抗がある。そして推しメーカーを持つ者はにしき堂を少し下に見る。
     以前ににしき堂の物を渡した時に、研磨がどのメーカーのもみじ饅頭がおいしいのにと文句を言ったのか、職場の先輩の好みがどれか、確かに聞いたはずである。しかし厄介なことに藤い屋、木村屋、やまだ屋、必ず学年に数人いる苗字の屋号なので覚えられない。
     そこに救世主が現れた。個性に欠ける屋号のひとつ、藤い屋の淡雪花である。近年、知名度を格段に上げた広島レモンを使用した、マカロンみたいな形をしたゼリー系のお菓子だ。パッケージから映え良し、味良し、しかももみじ饅頭より日持ちがする。
     土産菓子におしゃれは求めていないと言う研磨も、高級感のあるパッケージや見た目に反して、どこか駄菓子感もあるその菓子を気に入っている。気の利いたお菓子を渡したい場面に丁度いい。
     これを機に黒尾はもみじ饅頭売り場から一歩引き、ついにメープルもみじフィナンシェの存在に気が付いた。あんこが苦手な人は少なくないが、フィナンシェを嫌いな人類、存在しないのでは? 気になるとしたらカロリーくらいだろう。おまけにパッケージにきちんと広島と書いてあるので、どこの土産かぱっと見で分かる。
     万能菓子との出会い、もみじ饅頭からの解放である。もう迷う必要はない。
     もみじ饅頭から解放されただけで、もしかしたら走った方が早いのではと思わせるノロノロの路面電車も趣き深く感じられる。猫田記念体育館の裏手のショッピングモールにはおいしい飲食店がないことも気にならない。
     けれど、空港まで長々とバスに揺られるか、新幹線で超長距離移動するかの問題は解消のしようもなく、家まで遠い……と思いながら黒尾は大きすぎる身体を縮こまらせて帰途につく。
     MIKASAがあり、広島サンダーズがあり、スポーツ王国として活発な県だけに、交通アクセス、何とかしてよと思ってしまうのだ。
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