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    りーな

    @daryunaru
    好きなように二次創作物
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    りーな

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    とどちワンドロワンライ 9回 【媚薬を飲んだ受け】【マフラー】【「俺のせいじゃない」】
    藤←千 高二公式戦前。片想いを勝手に封じ込める千早が好き。マフラーはバイクのマフラーになった

    #とどち
    re-election
    #藤千
    fujichika
    #忘バ

     藤堂君が好きだ。もはや認めるしかなかった。綺麗な女性に憧れたり男女交際を夢見たりAV女優の淫らな姿に興奮したりしていたはずの俺だったのに。気づけば隣の席で爆睡している金髪ロン毛の元ヤン球児に恋をしていた。やってられない。藤堂君といえば意外とデリカシーがあって、野球に真面目で、イップスを克服するくらい根性があって、家族思いで、友情に厚くて、いい奴なくらいで……惚れた欲目という言葉を脳から追い出しておく。
     藤堂君とどうこうなりたいかといえば、正直なりたい。恋人に。恋人になるには……無理無理無理! 告白してオッケーしてもらう必要がある。絶対に無理だ。まず告白できる気がしない。なんで胸の内を他人に晒さねばならないんだ。相手に自分の心の生殺与奪の権を与えるなんて、俺にはできない。しかも告白できたとして、藤堂君がオッケーするはずもない。藤堂君のタイプはどうやら清楚系の女子っぽいし。仮に藤堂君が男子に好意を抱くとしても山田君や要君みたいなタイプの方に惹かれるだろうし。
     でも恋人になりたい。ならばどうすればよいか。藤堂君に告白させるしかない。しかし藤堂君が俺を好きになるはずがない。困った俺が参考にしたのがBL漫画である。少女漫画みたいなベタな恋愛観がありそうだと思ったけど少女漫画は男女交際メインなので男男交際恋愛漫画ならいいかと思ったのだ。電子書籍だとふとした拍子に親が明細や履歴を見ないとも限らないからわざわざ帽子にサングラスをして紙のコミックを書店で買った。家でこっそりと読み始めて俺は衝撃を受ける。エロい。年齢制限なくていいのか? 俺がAV見てることは棚に上げておく。媚薬を飲んだ受けの痴態に興奮した攻めが手を出して責任取る系の漫画を読んで天啓を受ける。これだ。藤堂君が俺に手を出したら義理がたい藤堂君は責任を取ろうとするだろう! そして我にかえる。媚薬ってどこで売ってるんだよ。精力剤買うのは恥ずかしいし、飲酒は絶対にダメだ。バレたら部に迷惑がかかる。そもそも俺がエロくなろうと藤堂君が勃つ気がしない。

    「はあ……」
    「んだよ」
    「藤堂君には関係ないんで」
    「じゃあ意味ありげに溜息吐いてんじゃねーよ」
    いつもはもう少し会話が弾んでいるが、今日は俺が話に乗らないのでお通夜みたいだ。バッセンの誘いも断った。
     部活が同じで帰り道も途中まで一緒なので必然的に藤堂君と過ごす時間は長くなる。野球をやってる時はいい。恋愛なんかよりチームの勝利が大事だ。でも他の時間での藤堂君との距離感に悩み始めたのだ。悪態ばかり言ってくる相手に欲情することはなかなかないだろう。ましてや藤堂君みたいなタイプは好意をストレートに伝えた方が響く。でも俺にはそれができないからマイナスをゼロにすることを目指したのだ。そうしたら山田君と要君に喧嘩したのかと心配された。悪口軽口言ってる時の方が仲良しと思われてるのも不思議な話だ。
    「今日はちょっと寄り道するんで、それじゃあまた明日」
    「あ、おい」
    いつもの分かれ道より随分手前の交差点で藤堂君とお別れしようと一歩踏み出そうとした。できなかった。ものすごくド派手な排気音のバイクが数台連なって走り去っていったからだ。信号無視だし違反マフラー改造だし早く捕まってしまえ。俺が渡りたかった横断歩道の信号が赤になってしまった。藤堂君側は青なので渡るように促す。しかし藤堂君は渡ろうとしない。
    「なあバッセン行かね?」
    「さっき断ったじゃないですか」
    「テメーのせいで調子悪かったんだよ。付き合えやコラ」
    「藤堂君の調子が悪いのなんて俺のせいじゃないでしょう」
    確かに今日の藤堂君の打撃練習は散々なものだった。それでも当たったら俺より飛んでる打球もあった。長打の手がかりが掴めない俺としてはちょっとムカつく。あ、信号が青になった。
    「じゃ、俺はあっちなんで」
    公道なので本気は出してないけど、それでも俺の走りにスタートが遅れた藤堂君は追いつけない。追いかけても来ないようだし。走りながら少し冷静になる。
     藤堂君は割と周りをよく見てる。いきなり俺が大人しくなったから、何かあったのかと心配してくれたのかもしれない。アホだな、人を心配して自分の練習が疎かになるなんて。愚かとしか言いようがない。でもあの仲間大好き男に他人行儀な態度をとって悩ませたり、山田君や要君に心配かけたのは俺だ。アホなのは俺だ。恋愛沙汰で周囲を巻き込むなんて、俺のプライドが許せない。となると道は一つ。
     家に帰って南京錠と箱を取り出す。BL漫画を箱にしまい、さらに押し入れへと隠す。暴走した恋心を合わせて封印する。そもそも藤堂君が俺を好きになるなんてないだろうし。さっきだって俺を引き止めようとしたくせに腕すら掴もうとしなかった。俺に触れたいと思わせることなんて、きっと無理だ。だから明日からはいつも通りにとことん揶揄って笑ってやろう。俺も藤堂君もみんないつも通りが一番いいのだから。
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    りーな

    DOODLEとどちワンドロワンライ 9回 【媚薬を飲んだ受け】【マフラー】【「俺のせいじゃない」】
    藤←千 高二公式戦前。片想いを勝手に封じ込める千早が好き。マフラーはバイクのマフラーになった
     藤堂君が好きだ。もはや認めるしかなかった。綺麗な女性に憧れたり男女交際を夢見たりAV女優の淫らな姿に興奮したりしていたはずの俺だったのに。気づけば隣の席で爆睡している金髪ロン毛の元ヤン球児に恋をしていた。やってられない。藤堂君といえば意外とデリカシーがあって、野球に真面目で、イップスを克服するくらい根性があって、家族思いで、友情に厚くて、いい奴なくらいで……惚れた欲目という言葉を脳から追い出しておく。
     藤堂君とどうこうなりたいかといえば、正直なりたい。恋人に。恋人になるには……無理無理無理! 告白してオッケーしてもらう必要がある。絶対に無理だ。まず告白できる気がしない。なんで胸の内を他人に晒さねばならないんだ。相手に自分の心の生殺与奪の権を与えるなんて、俺にはできない。しかも告白できたとして、藤堂君がオッケーするはずもない。藤堂君のタイプはどうやら清楚系の女子っぽいし。仮に藤堂君が男子に好意を抱くとしても山田君や要君みたいなタイプの方に惹かれるだろうし。
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    りーな

    DOODLE6回 とどちワンドロワンライ【ハンバーグ】【プロ野球】【約束したろ】
    社会人とどち。前半藤堂、後半千早視点と思って置くと読みやすいかも

    書けなかったけど藤堂のマンションは球団ホームエリアにあり、部屋が余っていて、千早の現在住む家に置いてあるけど寮には持っていけず、といって実家に置いておくほどでもない私物を置く部屋になります
    『 前略 藤堂葵様

     このように手紙を書くのは初めてのことですね。別に手紙を書かずともSNSでやりとりできますし、それなりに会って話す機会もあります。年賀状すら送っていないというのに、わざわざ便箋を買ってまで筆を執ることになるとは……筆とか言ってボールペンじゃねーかとか言わないでくださいね、慣用句ですから。慣用句って分かりますか?笑
     さて、藤堂君との思い出でも語りましょうか。高校三年生で進路志望の提出用紙が配られた時、俺はてっきり藤堂君は清峰君と同じようにプロ野球選手と書くのかと思っていました。しかし違いましたね。君はスポーツ推薦での進学を志望しました。プロになりたいという気持ちはある。ただ、小手指のみんなやシニアの先輩達とやる野球が楽しいのであって、果たしてプロ選手として自分がやっていけるのか、このような心持ちではプロなど務まらないのではないか、もうちょっと自分を鍛えたいのだ、というようなことを君は言っていました。それも本音でしょう。君は気持ちに左右されるところがありますし。でも、ご家族のためもあったのでしょうね。同じ寮暮らしでも地方の球団よりは都内の大学の方が融通が利きます。
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    りーな

    DONE4回 とどちワンドロワンライ 【チキン】【ちっとも思ってないくせに】【ペアルック】
    高校生。千早がぐるぐる頭を悩ませている
     本当の意味で誰かと恋人のなりたいと思ったことはなかった。それはまあ、性的接触に興味がないかといえば大いにある。健全な男子高校生なのだ。でも、例えば誰かとペアルックで手を繋いでデートとかいうカップルになることは自分には無理だと思っていた。そんな恥ずかしい真似ができるか? だって(1)告白→承認 (2)ペアルック依頼→承認 (3)手を繋ぎたい→承認 と、ステップが多すぎる。千早瞬平という人間は自分で言うのもなんだが、他人に相談しない、人に胸襟を開かない。そんな人間が誰かと恋人同士!? なれるわけがないだろう。当然(4)性的なことがしたい→承認 も夢のまた夢である。誰かと何かがしたい、しかも割となんというか恥ずかしいことをしたい、そんなこと言えるか! 拒否されたら恥ずかし死にしてしまうかもしれない。臆病者、チキン野郎と言われようと無理なものは無理だ。仮に相手から言ってくれたら、しょうがないですね〜って承認パートだけならいけるかもしれない。本気で嫌なことは嫌って言って、ほとんどのアクションは相手任せで……それって本当に付き合ってると言えるのか? 相手にとって俺と付き合うメリットがなくないか? 恋人ってなんだ? 後輩の瀧はよく七人もの彼女とこんなことをやっていられるな。わざわざ言葉にしなくてもムードで分かるタイプの人もいるらしいが、それは信頼関係あってのものだろう。心を開かない千早に果たして空気を読めるのか。そもそも、千早には潔癖なところがある。これも誰かと恋人関係になることに積極的になれない事情だ。千早と他人の接触不快ライン。その線引きを恋人であろうと超えて欲しくないのか、恋人にはむしろその線を超えて欲しいのか。千早自身でも分からない。恋人ができたことがないから当然なのだが。小手指野球部員、特に同学年には随分緩くなっている自覚はある。藤堂君ならおにぎりだって食べられる。
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