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    りーな

    @daryunaru
    好きなように二次創作物
    女体化好き

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    りーな

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    8回とどちワンドロワンライ【嫉妬】【溶ける】【「何を隠した?」】
    高二 藤堂(→)←千早。 声が入ってないと意味がない
    推敲を諦めたけど間に合わなかった

    #忘バ
    #藤千
    fujichika
    #とどち
    re-election

    「お邪魔しま〜す」
    そう言う要の声に千早は待ったをかけた。四人のチームメイトを玄関に置き去りにしたまま千早は自室へ急ぐ。机の上に置いていたモノを押し入れに隠して代わりにスリッパを取り出す。それを抱えて玄関に戻り、チームメイトにスリッパに履き替えるよう指示をした。自室に先に行った理由を「スリッパを持ってくること」にしてしまえば、「何を隠した?」と問われるリスクを回避できる。もっとも汚物がそのままの靴下で家に上がり込むことも嫌だったが。

     小手指の一番打者として成果を出せていない千早に対して、チームメイトはあまりにもお人好しで、かつてチームメイトに壁をつくっていた千早から言えないような、真っ直ぐな言葉と信頼を浴びせかけたのだった。

     チームメイト達が帰り、千早は一人。両親はまだ帰らない。部屋の掃除機掛けも終わったので収納に隠したモノを取り出す。南京錠のある空っぽの箱。かつて千早が死にたくなるような嫉妬を、それと向き合うことを逃げて、でも捨てきれなくて、見ない振りをして閉じ込めた、あの箱。千早がその蓋を開けると、まだグラブの匂いが染み付いているような気がした。
     千早は空っぽの箱を眺めて昨夜の思考を辿る。バッティングフォームを変えているけれど、碌に長打が打てないまま公式戦が始まってしまった。勝ち進んではいるけど、一番打者としての責務は果たせていない。このままでいいのだろうか。そんな悩みを抱えているからか、初心に戻りたくなってしまい、グラブを隠していた箱を千早は取り出した。この箱にグラブを入れて鍵をかけた時、もう二度と野球を楽しめないのだと思った。思っていた。
     それが今、何の因果か野球を辞めるきっかけとなったバッテリーの背中を守っている。しかも、それがかなり楽しい。
     チームメイトの藤堂も同じようにグラブに封をした仲間である。ちゃんと確かめたことはないが、千早はそう確信している。同じようにバッテリーに心を折られた山田は封印まではしていないはずだ。藤堂の場合イップスだったことが大きい。
     千早は箱を撫でた。藤堂がイップスを克服したのは、要のアドバイス、清峰のプレッシャー、そして山田への信頼が大きい。光のような彼らがいてこそ藤堂は完全に復活した。強打者で、背が高くて、力も肩も強い。守備のセンスは自分だって負けていないが、藤堂は「いいなぁ」の塊だった。野球とも自分とも向き合えなかったままの千早なら、イップスで苦しんでいたことを知らないまま「いいなぁ」で藤堂の努力も苦しみも消費してしまうところだった。だからチームメイトになれて良かったと思う。
     問題はその感情を何故かうっかり恋に結び付けてしまった千早にある。たまたま隣の席で、たまたま同じような感じで野球を辞めて、復帰して、苦しみも報われるところも近くで見すぎてしまっただけで。妹思いで面倒見が良くて、意外とデリカシーがあって……とか良いところをたくさん目にする機会が多かっただけで。隣の席だから気になる! 好き! とか小学生かよと千早も思うが、好きになってしまったからにはどうしようもない。ただ、千早はそれを認められなかった。千早自身の感情と向き合えず、逃げて、藤堂を揶揄って茶化してばかりだった。つまり、「こんな態度をとる奴が君を好きなわけないでしょ」というアピールをし続けたのだ。結果、悪友みたいなポジションは手に入れた。それでいい。山田みたいな好かれ方も、要みたいな構われ方も、「いいなぁ」と思わないように、彼らはイップス克服の立役者なんだから当然なのだからと言い聞かせて。
     それからスマホに残してある、イップス対策ワンバン練習の時の藤堂の動画を見ていた。フォームの崩れっぷりがおかしくて、でも動画を見せながら指摘するとどんどん調子が良くなって、あっという間にワンバン送球を習得した藤堂には舌を巻いた。藤堂が真剣に練習する様子がいくつもスマホに残されている。少しずつ改善していくその様を、まだ消せずにいるなんて、藤堂には言えない。

     それで藤堂の送球練習から鳥が肩に止まってる様子などあらゆる藤堂動画を見直していたら、すっかり夜遅くなってしまい、慌てて眠ったので箱をしまいそびれたのだ。翌日友人達が遊びにくると分かっていたなら押し入れに片付けておいたのに。それにしても、野球を辞めすぐの頃は、勉強していても音楽を聞いていても、時計が全然進まなくて辛かったのに、藤堂の動画だけで時間が溶けるなんて、全く信じられない。恋とは不思議なものである。

     とにかく、この箱を誰にも見られることがなくて良かったと千早は思う。過去の象徴であり、千早だけの苦しみの記憶なのだ。仮に藤堂だけであっても共有したい訳ではない。それに、今日のチームメイトからの言葉で今の千早で頑張ろうと腹を括った。もう大丈夫。千早は箱を再び押し入れへしまい込んだ。

     夜、千早が風呂から上がると藤堂からメッセージが届いていた。明日の試合に関することかと思ったが、違った。 『一年の時の俺のワンバン練習動画ってまだ持ってるか?』 ひっ、冗談ではなく千早はそう言った。目の前に藤堂がいなくて良かった。わざわざバックアップもとっています、なんて言えるわけがない。 『間違えて消しちまって』『もういらなくないですか?』 既読がついた途端、藤堂から電話がかかってきた。
    「笑うんじゃねえぞ。その、あれお守りにしてたんだよ」
    「お守りって?」
    「だからよー。俺こんな状態から今ちゃんとやってるぜっていう……明日大事な試合だし……お前がゲラゲラ笑いながらアドバイスしてるの、あれ、あれがいいんだよ」
    イップス克服に千早も少しは力になれていたのだと思えて、千早は嬉しかった。でも、お前がいいみたいな思わせぶりな言い方をする藤堂は腹立つなと千早は思い、特にボロカスに言った動画を送りつけてやった。
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    りーな

    DOODLEとどちワンドロワンライ 9回 【媚薬を飲んだ受け】【マフラー】【「俺のせいじゃない」】
    藤←千 高二公式戦前。片想いを勝手に封じ込める千早が好き。マフラーはバイクのマフラーになった
     藤堂君が好きだ。もはや認めるしかなかった。綺麗な女性に憧れたり男女交際を夢見たりAV女優の淫らな姿に興奮したりしていたはずの俺だったのに。気づけば隣の席で爆睡している金髪ロン毛の元ヤン球児に恋をしていた。やってられない。藤堂君といえば意外とデリカシーがあって、野球に真面目で、イップスを克服するくらい根性があって、家族思いで、友情に厚くて、いい奴なくらいで……惚れた欲目という言葉を脳から追い出しておく。
     藤堂君とどうこうなりたいかといえば、正直なりたい。恋人に。恋人になるには……無理無理無理! 告白してオッケーしてもらう必要がある。絶対に無理だ。まず告白できる気がしない。なんで胸の内を他人に晒さねばならないんだ。相手に自分の心の生殺与奪の権を与えるなんて、俺にはできない。しかも告白できたとして、藤堂君がオッケーするはずもない。藤堂君のタイプはどうやら清楚系の女子っぽいし。仮に藤堂君が男子に好意を抱くとしても山田君や要君みたいなタイプの方に惹かれるだろうし。
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    りーな

    DOODLE6回 とどちワンドロワンライ【ハンバーグ】【プロ野球】【約束したろ】
    社会人とどち。前半藤堂、後半千早視点と思って置くと読みやすいかも

    書けなかったけど藤堂のマンションは球団ホームエリアにあり、部屋が余っていて、千早の現在住む家に置いてあるけど寮には持っていけず、といって実家に置いておくほどでもない私物を置く部屋になります
    『 前略 藤堂葵様

     このように手紙を書くのは初めてのことですね。別に手紙を書かずともSNSでやりとりできますし、それなりに会って話す機会もあります。年賀状すら送っていないというのに、わざわざ便箋を買ってまで筆を執ることになるとは……筆とか言ってボールペンじゃねーかとか言わないでくださいね、慣用句ですから。慣用句って分かりますか?笑
     さて、藤堂君との思い出でも語りましょうか。高校三年生で進路志望の提出用紙が配られた時、俺はてっきり藤堂君は清峰君と同じようにプロ野球選手と書くのかと思っていました。しかし違いましたね。君はスポーツ推薦での進学を志望しました。プロになりたいという気持ちはある。ただ、小手指のみんなやシニアの先輩達とやる野球が楽しいのであって、果たしてプロ選手として自分がやっていけるのか、このような心持ちではプロなど務まらないのではないか、もうちょっと自分を鍛えたいのだ、というようなことを君は言っていました。それも本音でしょう。君は気持ちに左右されるところがありますし。でも、ご家族のためもあったのでしょうね。同じ寮暮らしでも地方の球団よりは都内の大学の方が融通が利きます。
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    りーな

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