さめてもほのかに「――それでは、お二方!ご一緒できず恐縮ですが、我々はここで失礼いたします。閣下と殿下におかれましても、あまり深酒はなさらず速やかにお休みください!」
「おひいさん、ナギ先輩。お先失礼します」
「うん、わかっているよ。2人ともおやすみ」
「ぼくらは子供じゃないんだから、そのくらい弁えているね。凪砂くんのことは任せて、茨は早く休むといいね!ジュンくんもおやすみ!」
「「おやすみなさい」」
リンッと涼やかな音を鳴らして閉じたエレベーターを見送り、揃って踵を返す。濃い赤のフロアマットは沈むスニーカーを程よく潜めてくれていて、すっかり眠っているだろう同じ階のスタッフさんたちに申し訳なく思うこともない。
「でも、良かったんすか。オレに合わせて茨まで戻らなくても」
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