内緒話.「…もしもし?茨?」
「んっ……あ〜!!お疲れさまであります!!今飲み会が終わってぇ〜…自分一人じゃ帰れないので迎えお願いしま〜す!!」
取引先との飲み会に参加している茨から電話が掛かってきた。かと思えば、用件を言い終わると即座に通話を切られてしまった。いつもバカでかい声だが、いつにも増してでかい声で電話越しでも耳が痛い。帰る場所は同棲しているこの家なのだから別にオレが迎えに行っても構わないだろう。マスクを付け帽子を深く被り急いで家を出た。
飲み会が行われている店前に着いて店の中に入る。従業員に念の為に茨から聞いておいた団体名を言うとすぐに案内してくれた。
「こちらです」
「ありがとうございます」
軽くノックをして部屋の中を覗くと、茨は机に突っ伏していた。周りのお偉いさんたちがオレに気付いて全員がこちらを見る。
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