俺の恋人こと、松本稔はハンサムな顔立ちをしている。二重の瞼に意思の強そうな瞳、キリッとした眉、無表情でいると冷たい印象を受けるが、笑うと頬に笑窪が浮き出て柔らかい印象になった。そんなギャップを見たヤツは、男女問わず松本の魅力に頬を赤らめることが多かった。
そんな可愛らしい、愛らしい人が俺の恋人だぞ!と声を大にして自慢したかったが、大人な俺はそんな幼稚なことはしない。グッと呑み込み、松本の後で腕組みをして、頬を赤くしたヤツらに睨みを効かせるくらいだ。
先日も笑顔を振りまき可愛らしい顔をするものだから、つい口を尖らせて拗ねた様に「どれだけ俺を惚れ直させれば気が済むんだよ」と伝えると、「ふはっ!俺から離れられないように何度でも」と笑窪を浮き出しながら柔らかく笑うではないか。
そんな松本が眩しく見え、目を細めながら「スッポンと例えられる俺が離れると思ってるのか?我慢比べといこうじゃん!」と答えると、ふたり顔を合わせて、くふくふと笑い合いながらシーツの波に飛び込み、オフの時間を楽しんだ。
さて、今日も可愛らしい恋人に近づくヤツに睨みを効かせなくては。練習着の裾をズボンに入れながら気合を入れるのだった。