沢松の日4.5 沢北が渡米する事が決まった。驚くことはなかった。アイツのバスケを見ていたら、いずれそうなると思っていたからだ。付き合い初めて一年経たない内に渡米する恋人に「セックスしたいです」と言われても、……まあ、そうなるよな。と思うくらいは落ち着いていた。
子供のようなキスから舌を絡めた大人のキス、お互いの身体を触り合い、性器を一緒に擦ったり……と、挿入は伴っていないが、出来ることはシてきた。明言はされていなかったが、沢北はよく俺の臀部を揉んだりアナル付近を触ってきたり、尻の割れ目にペニスを擦りつけたりして、挿れたいんだろうとは思っていた。ダメ押しで「俺、挿れたい……」と欲しくて堪らないと欲を含んだ言葉と熱視線を受け、そこまで求められたら無下にもできない。惚れた弱みだな……と苦笑しつつ、「わかった。……次の休みに…な?」と沢北の胸元に拳を当てたことを覚えている。
お互い初めて同士、しかも同性で受け入れる側の負担は大きい。(流血沙汰にならないように、多少は解しておいた方がいいんだろうけど、どうするかな……)と頭を悩ませたことは遥か昔のよう思えた。
* * *
「俺、幸せです……!」
「…向こうで浮気すんなよ?言い方は変だが、本当なら捧げる予定の無かった俺の処女をお前に捧げたんだから」
事後、ベッドでふたり寄り添っていると、沢北が涙目で言うものだから、思わず不安を含んた言葉が口から零れた。
「浮気!?そんなのする訳ないじゃん!松本さん狙いのライバル多かったんだから、手放すようなこと絶対しない!!松本さんと付き合える事だって夢のような……今でさえ、たまに俺が都合のいい夢見てるんじゃないかって思うくらいなのにっ!」
「ふはっ、なんだよそれ……。俺はちゃんと……栄治のことが好きだよ」
愛おしい年下の恋人の言葉に笑みが溢れる。沢北の輪郭を撫で、唇に触れるだけのキスをした。
「ちゃんと好きだから、お前とセックスだってしたんだからな」
柔らかく微笑んで呟く松本を沢北は力強く抱きしめた。
「松本さん……稔さん、ありがと。俺も大好き……ずっと、ずーっと、俺だけを好きでいて。浮気しないでね……俺の事、離さないで待ってて……」
ぐす…と鼻を啜る音は聞こえないふりをしながら、抱き締め返す。付き合い始めた頃よりも逞しくなった沢北の背中を優しく撫でた。
* * *
久しく会えていない恋人からの手紙には『好き・大好き・愛してる』の文字が溢れていた。クスリと笑いながら続きを読み進めていくと、書いてから消したであろう少し汚れた余白に『あいたい』と跡が残っていた。筆跡が強く跡が残った消えた文字を撫でながら、(会いたい……か。俺もだよ)と物理的な距離は心を寂しくさせた。
沢北から送られてきた手紙を読み終え、箱の中にしまう。昔は苦くて飲めなかったコーヒーを口にしながら、沢北が渡米する前の初めてセックスした時の事を思い出した。お互い手探りで、気持ちよかったと言えないセックスだったが、多幸感に溢れていたことは覚えている。前回の肌の触れ合いはいつだったか、心が寂しくなったと同時にひと肌が恋しく感じ、カップに残っていたブラックコーヒーを一気に飲み干した。
お互い二十歳は過ぎ、沢北はアメリカでプロ選手として試合に出場していた。気軽に行ける距離ではない。
ここから書けてない〜〜!!!
R-18の話を考えていたけど、上手く纏まらなくて途中……