甘いあまいsweets「ゲンイチローくんはパンケーキって食べたことある?」
「?」
パンケーキ。
パンなら、ケーキなら食べたことはあった。
だが、パンケーキ?
どのようなものかいまひとつイメージできない真田弦一郎6歳は、よく分からない、とばかりにコックリと真横に首を傾げた。
「食べたことない?なら食べにおいでよ!」
きゅるるんと大きな瞳で見つめられ、光り輝く笑顔で言われたら、
「うん」
なぜ突然そんなことを言い出したかという理由も聞かず、反射的に頷いてしまっていた。
幸村精市、まだ5歳。
彼の笑顔に、弦一郎はとても弱かった。
幸村に誘われるまま、お家にお呼ばれした弦一郎の前に鎮座するパンケーキ。
想像したものと全然違っていた。
ホットケーキみたいなものかと思っていたが、それ以上にふわふわしている。黄金色の雲みたいだと思った。キュルキュルとツノが立つホイップクリームの塔がお皿の四方に飾られ、2枚に重ねられた1番上では弦一郎少年も大好きな苺が飾られている。
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