プラリネショコラ クロウリーは彼の天使に贈り物をするのが好きだったが、それは専ら食べものか飲みもの、あとは花なんかだった。形に残るものを贈ったことはない。二人でつるんでいる痕跡がお互いの職場にバレたらよくないことになるし、アジラフェルはあまり嘘が上手くない。天使なのだから当たり前だが。
自分が関与できない分、天使の持ち物に敏感になった。本屋の内装でも、身につけてるものも、変わったらすぐにわかる。
「そのブックカバー新しいやつか」
そう言ってクロウリーが指さすと、アジラフェルは艶のある焦げ茶の表紙をつるりと撫でて「そう。かわいいだろ?」と機嫌よく返す。かわいいかは知らないが、好きそうなデザインだし、似合ってると思った。
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