Fair🌱🏛️ 出来立ての傷口に染み込む消毒液の痛さに、反射的に腕が跳ねた。それをめざとく感じ取ったティナリはさらに眉を吊り上げて、揺れる大きな耳にもお構いなしに何度目かの説教を口にする。
「本当に、なんで無茶をするの? どう考えても素手で車体の中に手を突っ込んだら引っ掛けて怪我をするってわかるでしょう?」
言葉は優しいが、テキパキと応急処置をしていく剣幕は凄い。一緒に心配をしてくれていたアルベドが、あとは任せた方がいいね。と退散したくらいだ。見捨てないで欲しかった。
右手首の下にスッと入っている一本の線。最初は血も出たがすぐに止まった。こんなに大袈裟に手当しなくてもと思うが、怒っているティナリに意見をする勇気は持ち合わせていない。
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