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    nanndemo_monyo

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    nanndemo_monyo

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    ディミアネ(NL)。寝ているアネットを見て少し考え事をするディミトリの話。cpがいつもと違うので要注意のこと。

    寝台の上の楽園とても細く、小さい背中だ。夜半に部屋に帰るたび、いつもそう考えてしまう。
    「……アネット」
    名前を呼ぶ。驚かないようにそっと、控えめな声で。炉の火が彼女の髪に反射して煌々と輝き、はつり、と瞬く様を緩慢に見せた。
    「……んん、へいか……」
    「アネット。寝るなら寝台に運ぼう」
    「ん……だいじょうぶ、です……」
    かくりと頭が傾いて、重たい瞼が閉じてしまう。吐息を溢して、ゆっくりと身を抱えた。できる限り優しく、寝台に身を横たえさせる。乱れた前髪を払ってやろうとして僅かに躊躇した。
    このくらいの背丈の子どもを、何人も殺してきた。首がまだ細い彼らは少し骨を歪めただけで、こきりと命を絶ってしまえた。槍で頭を飛ばした者も、踏みつけて内臓を破裂させたものもいる。彼らの断末魔は、今でもシミのように脳裏にこびりついて、いつでも思い出すことができた。
    寝台から身を離そうとすると、ぴんと引かれる感覚があった。アネットの指が、きゅっと夜着を握っていたのだ。傷つけないようにそっと、手を取る。赤子は指先に入れられたものを握ってしまう、という話を脈絡なく思い出す。ほどなくして指が包まれて、ふっと微笑んでしまいかけた時だった。
    「……へいか、いっしょ、に……」
    ちいさな寝言は確かに耳に届いた。包まれた指をそっと握り返す。音を立てないよう静かに、寝台の隙間に潜り込んだ。目を閉じると、今でも一人で過ごした夜が蘇る。死者は時折鼓膜を揺さぶる。罪に染まったこの身では、死んだとてろくなところへはいけまい。
    それでも。
    それでも、今だけはここに居させて欲しい。安寧の内側で、独りよがりにそう思う。
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