まわる、まわる「東。寿司食いにいくか?」
平日昼過ぎ。一番、この店が平和な時間。海藤はふらりとやってきては、無遠慮に東を呼ぶ。
「兄貴が食いたいんなら」
「回るやつだけどな。ほれ」
どちらにせよ、そろそろ昼の休憩を取るところだった。そんなタイミングでの誘い、願ってもいない。
そう立ち上がったところで、目の前にぺらりと差し出された紙に目を遣った。
「ん? オープン記念優待チケット……?」
「この前の依頼人が、依頼料のついでにくれたんだ」
見ればチェーン店ではあるが、それなりに美味いと評判を聞く店だ。神室町初出店、と銘打って書かれた割引率を見るに、結構な力の入れようだ。そんなコネクションも、海藤の愛嬌を感じさせて。
「へぇ。流石は兄貴の人望だ」
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