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    deundeuun

    @candi___ru059

    🔥🎴・💎⚡️が大好きです💕 久々腐りました。 
    腐る直前に書いたssなども、あげたりしてます。今は大腐りです。

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    deundeuun

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    12/21.22webオンリー用ss
    煉炭ほのぼのss

    気温は下がり、体温は上がる アウターを厚手に変えた朝、息が白いのを確認した。鼻を通る外気が少しツンとする。冬がやってきた。相変わらず夏は長く、秋は短くなった世の中だが、やっと季節が変わったように見える。電車内も外気温との差で窓が曇っている。ターミナル駅で車内が空き、俺は窓側に移った。そこから2つ隣の各駅しか止まらない小さな駅が、今の1番気になっている場所だ。駅は2階にあり、窓から見下ろすと朝のラッシュ時にも関わらず人は少ないように感じる。駅への入口に簡易出張販売…のようなパン屋がいることに気が付いた。いつもニコニコな女性店主さんと一緒に少年が立っている。声は聞こえないが大きな口を開けて、手をぶんぶん振っている。あの笑顔で見送られたら、それは1日幸せな心もちだろう。あぁ、お母さんの背中の赤ちゃんには変顔までしている。あのニコニコなパン屋が気になって仕方がないのだ。実は以前降りてみたことがあるんだが、その日は何故か出店しておらず、翌日には出店していて、ちょっと心が折れたのだ。いつか、またリベンジしようと思いつつ、なかなか踏み出せないままでいる。

     が、“いつか”は急にやってくる。少し遅い出勤の日が出来たのだ。数日前から後何日と楽しみにしていたが、周りに理由を言うことも無かろうと平静を装っていた。とうとう明日だ!ウキウキと荷物をまとめ席を立って身支度をしていたら同僚が声をかけてきた。
    「おい、煉獄ゥ お前ここのところ、やたらウキウキしてるけど、何かあんのかァ?」
    後からゾロゾロと来る仲間達。
    「うむ、俺も気になっていた。なんだ?何かいい事があるのか?」
    「おいおいー!俺様も気になってたんだが、我慢してたんだぞ、聞くの!で、おい!なんなんだよ!」
    「…(こくこく)」
    我ながらハキハキと話す方で、きっぱりしっかりなタイプだが…驚いて口がぽかーんと開いてしまった。
    「な?…え?な…?ど?ど?」
    「『なんで?どうして?』ってか?そりゃお前、頭のちょんまげが揺れに揺れまくってるからな。特に今日はビヨンビヨン動いてらァ」
    不死川の言葉に皆が頷く。何も話さない冨岡はずっと頷いてる。
    「あ…な、なるほど。揺れて…あぁ、そうか。」
    にじりにじりと迫る同僚達、下がる度に寄ってくる。
    「そんな大したことではない!だから」
    「じゃあ!大したことないなら教えてくれよ、な?」
    ニヤリと音がしそうなくらい歯を見せ笑う宇髄。頭の上から来られるとなぁ…が、俺は負けない!
    「そ…それは…とにかく何でもない!ではまた明日な!」
    脱兎のごとくその場を後にする。
    「なんとまぁ、ちょんまげが踊っているな。ふふ
    少しからかい過ぎたか。」
    優しく見守りつつ微笑む伊黒の肩から鏑丸も煉獄の背中を見つめていた。そして4人で顔を合わせ
    「よし、明日飲みに行こう」
    と宣言した。
     そんな企み?があることも知らぬ俺は足取りも軽く家路についた。

     今日は寝坊しないしないしないし…な…
    ジリリリー!
     けたたましいアラームの音で現時刻を知った。楽しみにし過ぎていたためか、夜なかなか眠れずたいして寝ていない。今日は少し遅い出勤日。と言っても昼前には着く様にするのだが。とはいえ余裕を持ってきて身支度をしようと思っていたのに、結局いつもと同じ時間に起き、同じ身支度をして、いつもの俺の完成だ。が、そこからは駅まで走って走って、2つ前の電車に乗った!駅の階段を駆け上り、近場のドアに入り込んだ。肩で息をし、胸に手を当て、落ち着こうとする。落ち着け落ち着け…あと少しで、あの駅だ。

    「いらっしゃいませー」
    「おはようございまーす!」
    「はい、ありがとうございます!お2つで200円です!はい、丁度いただきます!ありがとうございました!いってらっしゃいー!」
    電車の中からはわからなかったが、なんとも賑やかな駅…の端だ。毎日見ていたあの光景を今日は目の前で見ている。数人のお客さんを見送り、ひと息ついた頃足を前に出した。
    「あ、あの…」
    なんだか変な声が出る。彼はこちらに向き直り
    「はい!いらっしゃいま…」
    目を見開き、口をポカンと開けている。
    「?」
    何か変なところがあったろうか?緊張が伝わり過ぎていたろうか?自分の体に、手をペタペタしながら確認していると…
    「あ!ライオンさん!」
    彼が大きな声を出した。
    「え?ラ?イオン?」
    今度は俺が目と口を丸くした。
    「あ…ああ!すみません!毎朝この上の駅に止まる電車に乗ってる人なんですが、あなたのようなきれいな髪色で。お日様に当たるとそれがまるでライオンのようで…」
    「あ…え?」
    「す、すみません!急にベラベラと。あ、パンですよね。こちらは今日からの新商品の、ホワイトクリームたっぷりのベーコンパンで」
    と商品を手に取り見せてくれる、その手首を掴んでいた。
    「お!俺も!君のことを電車から見ていた!俺も君を見掛けられたら嬉しくて!その」
    「え…あ」
    「はいはーい!そこまで!まずは2人とも落ち着いて!」
     2人で我にかえると、別の店員さんが俺達を止めてくれていた。
    「か!母さん?」
    にこ〜っと笑って、彼の肩に手を置き
    「おはようございます。ライオンさんですか?とうとう会えたのね!すごいわねー!この子ね、『ライオンさんに会えた日は特別ラッキーな日なんだ!』て、それはにこにこして…」
    「母さん!」
    ひと際大きな声をあげて、彼女の、母を制止した。彼女は笑いながら
    「ごめんごめん。だってあんまりにも2人とも嬉しそうで、さ」
    更にニコー!と音が出そうな笑みを浮かべる。
    「俺がライオン?俺には君が太陽の様に見えていた。朝日の中で輝く君の赤みがかった髪は、電車からもよく見えて、とても綺麗だった。」
    と、彼の頬がどんどん赤くなっていく。
    「あー!見て見て!ママ!お兄ちゃん達、手を繋いで、顔真っ赤だよ!あのパン、そんなに美味しいのかな?」
    「◯◯君!」
    常連と思しき少年の通る声でまた2度目の落ち着きを取り戻した。
    「そ、そうよー このパン美味しいのよ。今日からの期間限定だよ。」
    「ママ〜!僕これ食べたい!公園でお散歩しながら食べようよ!」
    申し訳ない顔をしながら、その子の母親は購入して行った。
    「ばいばーい!」
     ふと見ると彼の手元のパンは強く握られ形が変わっていた。それに気づいた彼も俺と同じ悲しい顔をしていた。
    「さぁ、どのパンが昼食にはオススメかな?」
    と気を取り直して話しかける。彼もパァと明るい表情で教えてくれた。
    「うちのパンはわかりやすく全部100円です!小さめですがわかりやすさを求めてます!お昼はガッツリがいいですかね。もしそうなら唐揚げサンドはいかがですか?唐揚げも手作りです!あとはハムマヨ、ツナチーズ、それと当店定番のスパムおにぎりパンはいかがですか?お米は入ってないんですが、米粉を使ったシンプルなパンの中にランチョンミートが入ってます!海苔も巻いてあって、美味しいです!」
    彼のパンへの愛情が伝わる紹介の仕方で嬉しくなった。ニコニコし合ってしまった。
    「教えてくれて、ありがとう。では、そちらと甘いものを少しいただこう。これと、あとこれを。」
    「ありがとうございます!」
    「それからこれも」
    そっと彼の手にあったパンも袋詰めしてくれてる中に入れた。
    「いえ!これは形が崩れてしまって」
    「いや、これも大事な商品だし、何より愛情こもった君のパンだ。美味しくいただこう。」

     会計をして、俺は店を後にした。多めに買ったずっしり重いビニール袋を持って。今度はエコバッグを持って行こう。
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    deundeuun

    DONE #rntnワンドロワンライ に参加致します。
    「自惚れても、いいのだろうか。」を選びました。
    ⚠️
    ・🔥🎴 ・継子if ・ちょっと🔥さん弱気
    知らなかった、君のこと。 君の目は丸く大きく美しい。君の口は大きく開く、口角がぐっと上がるのが可愛らしい。君の手は…自分ではガサガサだと言っていたが、妹の頭を撫でるとき、彼女だけでなく、周りまで幸せにする。そんな君が、何故。何故なんだ。俺には全くわからない。何故俺の羽織を抱くのか。


     目につく隊士だった。殺伐とした鬼殺隊の中で、彼の周りだけ笑い声が絶えなかった。笑い合うだけでなく、最後には皆を鼓舞する。不思議な光景だった。鬼に家族を殺された者が多い鬼殺隊で初めて見るタイプだった。気付いたときには、目が追うようになっていた。今思えば、ややこしい家庭に育った俺が無意識に温かさを求めていたのかもしれない。 
     俺は自分に何も自信はない。ただ声が大きく、少し強いだけだ。君のように周りを笑顔にできるのかもわからない。近くにいる太陽のような君。そんな君が継子になってくれ、俺はその温かさを少し浴びることができ、幸せだった。夜毎命を賭して闘う、心身共に疲れる日々の、まさに癒しであった。気持ちが温かく、穏やかになるのがわかった。
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