あたたかさ 何だか、ここのところの寒さと仕事の忙しさが重なって、少し目眩がする…気がする。
「…ふぅ」
ひとつ息を吐いて、肩をおろす。右手で目頭を押さえる。椅子に座り直し、さぁ、次の作業は…と。後ろに引っ張られ、前への動きが封じられる。くるりと振り返ると、炭治郎が服の裾を掴んで立っている。俺は後ろに向き直り、
「なんだ?どうかしたか?」
と声をかける。炭治郎は無言で、ぎゅっと抱きついてきた。
「はぁ…生きてる。杏寿郎さん。生きてる。」
そう言いながら、耳を俺の胸に当てて、ゆっくりと確認するように、そっとひと言発した。そのまま頭の向きを変え、顔を胸に押し当ててくる。
「なんだか…」
「うん?」
「なんだか。怖くなってしまって。健康で、こうしていてくれるだけで、俺はとても幸せなんです。…へへ。今更、何ですかね。恥ずかしいな。」
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