『大過の怪盗』
灼熱と極寒に包まれた会場を見て、この男は私の全てを奪っていくのだと知った。
母も、叔母も、父も、養母も、家族も、居場所も、友達も、魔法も、才能も、私という構成する全ても。
あの怪盗服は、あの男を実によく表している服装だ。華麗に、鮮やかに、神出鬼没に、盗んでいく。いくら頑丈な警備体制を引こうとも、あの男を目の前にしてはそれは無意味となる。

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