Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    tekuro99

    @tekuro99

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 15

    tekuro99

    ☆quiet follow

    序盤の社畜描写

    異世界BL(創作) まったく、つまらない人生だ。
     
     会社のオフィスで、いつものようにキーボードを叩きながらそんなことを考えている。
     定時はとっくに過ぎているが、上司が置いていった書類の山は、一時間やそこらでは到底終わる量ではなかった。けれどどうにか終わらせないといけない。昨日だって定時間際に飛び込んできた問い合わせの対応に追われて、会社で一夜を明かすはめになってしまったのだ。さすがに二日連続で会社に一泊、なんて事態は避けたい。「今日は家族の記念日だから」と、言い訳を残して早々に帰宅した上司を脳内で殴り飛ばしつつ、残りの仕事に取りかかる。誰も居ないオフィスで、時計の針の音だけがやけに大きく響いていた。
     会社を出るころには日付が変わっていた。こんなときは会社から徒歩圏内に自宅があって良かったと思う。終電を考えなくて済む。
    街灯の明かりがポツポツと足下を照らす夜道を歩く。
    「はあ……」
     知らず知らずのうちにため息がこぼれる。今日も今日とて長時間の残業だった。それでもこうして帰れるだけまだマシな方だ。家に着いたら最低限の家事だけして早く寝てしまおう。部屋の中に干したままになっているワイシャツたちを思い出して憂鬱になる。せめて皺だけでも伸ばさないと明日着るものが無い。
    そこそこ名の知れた企業に就職して数年、ずっとこの調子だ。こんな生活があと何年続くのだろう。漠然とした不安が胸の中に広がっていくが、なんとかしようという気にもなれなかった。
     まとまらない思考にふけっていると、ふと背中に光が当たるのを感じた。振り返ると一台のトラックがこちらに近づいてくるのが見える。この時間帯は車もほとんど通らないはずなのに珍しい。道路脇の歩道、その更に隅の方に避ける。今歩いている道は緩やかなカーブになっている。トラックはスピードを緩めることもなくカーブに進入した。そこでようやく違和感に気づく。トラックは曲がる気配もなく、まっすぐこちらに向かっているのだ。
     やっとの事で脳が警鐘を鳴らす。だがそのときには眼前に車体が迫っていた。足はその場に縫い付けられたように離れない。一歩も動けぬまま、全身に強い衝撃が走る。痛みを感じる暇すらなく、意識が途切れた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭😭😭😭👏👏👏👏👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works