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    ヤギみち

    @xxxx_huyu
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    ヤギみち

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    マヨひいss/🧣の話
    友也くん視点です。

    12月追加ボイスのマフラーの件、やっと形にできました。
    第三者に観測されるタイプのカプ話が好きです

    ##マヨひい

    真白い目撃者 寒さがいや増す十一月の夜。
     友也が自室のソファに腰掛け台本を頭に入れていると、そっとテーブルにカップが置かれた。甘いにおい——ココアだ。
    「真白さん、よろしければどうぞ」
    「ありがとうございます、礼瀬先輩。わあ、マシュマロも浮いてる……☆」
     やさしい気遣いをありがたく頂く。
     同じくソファに座ったマヨイは膝の上に荷物を広げた。
     マヨイが取り出したのは橋のような形に編まれた毛糸だった。端を、長い編み針が留めている。面積の小さなそれは作り始めのようだった。傍らには、同色の毛糸玉と、もう一本編み針が入った籠も置いてある。
    「礼瀬先輩は編み物ですか?」
    「ええ。……すこし作りたいものができまして」
     はにかんで、マヨイは籠の編み針を手に拾う。
     編み針にかかった毛糸の一段を、まっさらな方の針先が一本ずつくるりと掬って移していく。ひと針ひと針、踊るように、迷いなく。すいすい動くマヨイの指先が一段行き渡るのを、友也は感心して眺めた。
     その日から、マヨイは夜な夜な編み仕事をしていた。何段も編み進められていく内に何を作っているか悟ったが、友也は首をひねる。マヨイの表情に——なんとも言えないものを感じて。
     
     翌週。HR前のざわつく教室。
     すでに席に着いていた友也は、入り口からまた一人と飛び込んでくるクラスメイトを目に入れた。この寒いのにちっとも着込まなかった人物の姿が、その日はすこし違っている。友也の視線に気づいて一彩がこちらを向く。
    「おはよう! 真白くん」
    「おはよう。天城、今朝は暖かそうだな」
     ご機嫌な一彩の首元には昨日までなかったマフラーが巻かれている。友也が指摘すると、ああと破顔した。
    「ウム! とても暖かいんだ」
     そう言って大事そうにマフラーを外してゆく。友也は何の気なしにその様子を見守っていたが、ふと引っかかった。なんだか、色や編み模様に、妙に見覚えがあるような——。
    「あ……」
    「?」
     友也の脳裏に、マヨイの姿が蘇る。最初に見た日からずいぶんと全長を伸ばした編み物。夜ごと毛糸に視線を落としながら、——ああも愛おしそうに編んでいた物。
     贈られた相手が、いま友也の目の前にいた。
    (へっ、ええ〜〜……!?)
     誰を想ってあの表情を浮かべていたのか。
     探るつもりもなかったのに、友也は一人その答えに気づいて、しまって。
     カーッと、知らず頬が熱くなる。
    「真白くん?」
     不思議そうに首を傾げる一彩に『礼瀬先輩からのプレゼントか』と確かめるのも、マフラーの話を広げるのも、やめておいた。
     
     想いを向けられた張本人より、横から気づいた自分のほうがよっぽど照れてしまったから。
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