ばかなおとこ/レオいず(途中) 真夏特有の湿度のこもった熱気が、その部分にだけまとわりついているような心地。あいにく今は夏ではないんだけれど。受け入れ難い熱って、こんな感じなんだ。これはこれで新鮮なものだな……と、当事者であるはずなのに、レオは二の腕に触れてくるそれをどこか俯瞰してじっと見下ろしている。
その女の手指のさきにはきらびやかなラインストーンが散りばめられていて、おもちゃをそのまま貼り付けたみたいなその指が肌に刺さる度に、すこしだけ痛かった。声をあげるまでもないから、それをゆるしてやっている状態。
うちからあふれてくるのは霊感ではなく、もっと汚いいろをしたなにかだ。
それがはたしてなんなのか、レオは自覚できない。
「———」
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