キスの日ネタ落ちる前に見たのは、教官の「あっ」と言う顔だった

その後すぐに自分は滝に飲まれてそこで記憶が終わる。泳ぎが苦手なワケではないし寧ろ得意な方ではあるが、流石に不意に心構えもなく凄まじい水流に叩き込まれれば誰でもそうなると思う。
コレが正式にハンターになっての狩猟中であれば、もうそこで命は無いだろうとも

熱くて少しぬるついて嫌に弾力性のある物が自分の口を何度も塞いでいて熱い空気を流し込んでくる感覚がする。ついでに苦しいし何かと身体が痛い…あと何かうるさい。
そう気付いた瞬間にこみ上げるものがあって咳き込みながら目を開ければ、薄ボンヤリと嫌に体格の良いシルエットが見える

「嗚呼、良かった愛弟子‼意識が戻ったんだね」

まず最初にうるさいと思った。だが直ぐにこの状況を理解したと同時に思わず…

「…さいあくだ………」

教官が自分を救助してくれた事の感謝より先に口から悪態が出てしまったが、俺は悪く無いと思う。
感謝はしてる、確かにしてるし自分の力量の無さを痛感したし人工呼吸は妥当だと思う。
妥当だとは思うがこの事態をすんなり受け入れるかどうかはまた別問題だろう

教官の唇の温度の熱さやら弾力性なんぞ俺は全く知りたくなかった
正直身体中痛いしまだ呼吸は辛いが、身体的な理由とは別に精神的にダメージを受けたその事実に少し涙が出そうだ。
…癒しとして妹にすぐ会いたい気もするが何か今は妹のあのくるくるしたビー玉みたいな大きな瞳と目が合わせられそうになくて会いたくない気もする。
こういう時もあるから、隣には住んでるが妹とは別居しておいて本当に良かったかもしれない

思わず顔を腕で覆った俺に対して教官は始終大丈夫かい？？？落ち込んでいるのかな？でもそんなに落ち込まなくても大丈夫！！！愛弟子、君はまだまだこれからさ！！！この失敗を次に活かそう！！！！と熱心に語りかけてくる。

いやホントにうるさいなアンタ。ちょっとは黙れないのか俺は今頭が忙しいんだよ

そう思った次の瞬間には手が勝手に教官の顔をビンタしていた。

頬を抑えてキョトンとした顔をするな

今日は本当にツイてない。