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    claberry_game

    @claberry_game

    MHRでモソモソとオリハン♂と♀でウツハン♂したりカゲハン♀したり。オリハンの設定それなりにあるのでもはや創作レベル
    ちょっとアレソレな絵や文などをポイッとします

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    claberry_game

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    いつものアレです( 'ω')
    そう、弊時空なので出てくるハンは弊オリハンです。此方はカゲハン♀要素がありますが弊時空なのでウツハン♂要素もいつもの様に混入されております。何でも美味しく食べられる方はお手隙でしたらどうぞ

    小ネタ─特に脈絡も無く、カゲロウはふと思った


    そう言えば彼女はいつもニコニコしているな、と



    ◇◇◇

    カゲロウの言う彼女とはカムラの里の二人の英雄・猛き炎達の片方、小さな気焔万丈の化身の女傑…コレだけ聞けば何と勇ましい女性だろうかと誰もが思う事だろう。

    だが実際の彼女の身の丈はカゲロウの胸の下あたりに来るかと言う小ささ。髪は絹糸の如くさらりとして肩の下あたりでふわりと踊る、水平線を登ってきた月の様な淡黄蘗色。雪膚の肌に種族特有の長い耳と、其れを彩るちゃりちゃりと涼やかな音を立てる耳飾り。髪と同じ色のけぶる睫毛に飾られた星を湛えた大きな天色の瞳。狩人とはとても思えない華奢な体躯をしている花の様にとても可憐なエルフの…
    そしてつい最近カゲロウと恋仲になった少女、クララである。

    自分と接している時は頬を薄紅に染めて気恥ずかし気にしているが、彼女はいつも誰と接する時も大体ぽやっとしてニコニコと愛想良くしている。
    もう片方の里の英雄にて猛き炎、いつも高飛車そうに気難しい顔をしている彼女の麗しの兄君、クラウスと比較すればとても分かりやすい程だ。

    偶に怒っている顔も見掛けはするが、誰から見ても何て事はないゆるくて可愛らしいものだ。
    嗚呼、でも自分に想いを告げて来た時の真剣な、これぞ狩人と言わんばかりの此方を狩ろうとする心の臓を貫かんばかりの強い目をした彼女も自らの奥底に眠る強者と相対する狩人としての感覚が久方ぶりに湧き、心を強く揺さぶられてとても良いものだった

    ─思いの外、自分は随分年下の彼女に絡め取られてしまったらしい

    だが、其れが良いとカゲロウは面布の下で静かに笑む。永きを生きる竜人族たる己とずっと時を同じく添える種族、己の凪いだ心を揺さぶり沸き立たせる事のできる圧倒的な強さと其れに噛み合わぬ可憐さ、惚れられたのは自らの方の筈であるのに、恋仲となった今では自らの方があの少女にくらりくらりと嵌まり込んでいる気がしてならない。
    彼女の手のひらでコロコロと転がされていると言うべきか、永きを生きる男の執着心に火が着いたと言うべきか

    百竜夜行が収束しつつあり、里外の観光客やハンターが多く行き交う様になったカムラ
    今迄はカムラの中だけで狭く閉じていた彼女の世界の扉は、今大きく開いている。

    ─例えば、そう。
    例えば…愛想の良くて可憐な彼女に、自分に気があるのかと勘違いして懸想する者も出てくるかもしれない、例えば…閉じていた世界の中でカゲロウを選んだ彼女が、開かれた世界で更に心奪われる相手を見つけてしまうかもしれない、もし…もしもそうなってしまったら

    「それは…面白くありませんな…」

    だって、もう彼女は己の連理の枝、比翼の鳥となる存在故に。そうすると、共に根付いてゆくと定めたのだ。
    過日の己の亡くなってしまった故郷の様に、ぽっと湧いて出た青い輩に奪われてなるものかと、年甲斐も無くたらればの可能性にカゲロウは少しばかり憤ってしまったが、それなりに年嵩であり商人であるカゲロウは己を律してすぐに平常心に戻るのもお手の物であった
    某もまだまだ未熟ですなと痛感していれば

    「やぁ、カゲロウ殿!こんにちは!!」

    「おや、ウツシ殿…こんにちは。何か御買い求めですかな?」

    「う〜ん、櫛をですね…駄目にしてしまって…」

    「櫛を…ですか」

    彼女の師であるウツシがいつもの様に音も無く歩きながらカゲロウの店へやって来た。
    彼の用向きを聞いて少し意外に思った。あまり彼が櫛を使って己の髪に頓着しているイメージがカゲロウには無かったので

    「あ、いや…俺のじゃないんですけどね…」

    「嗚呼、クラウス殿の物ですかな」

    ウツシの物で無いとするならば、彼が最近ドタバタ騒ぎの末に婚姻した相手にして、カゲロウの愛しき彼女の兄であるクラウスの物だろう

    「ええ…つい先日、里外のハンターと揉み合いになった時に落として割れてしまったらしくて」

    「ほぉ…それで御買い求めに来られたと。それは、それは…ウツシ殿は愛妻家ですな」

    「いや〜!あははは!それ程でも…それで、その櫛が幼少期にカムラに来た時にゴコク様からいただいた物だったらしくて…」

    「おや…クラウス殿は物持ちが良いですな、良き事です」

    「ええ、クラウスなりに結構大事にしてたみたいで…ゴコク様はそんなに大事に使っていたならその櫛も喜んで天命を迎えた事だろうと慰めて下さったんですけどね、もう大分古い物だったとは言え、割れてしまった櫛を見てしょんぼりしてるのが見ていられなくて…代わりにはならないかもしれないですが少しでも喜んで貰えたらな、と」

    「嗚呼なる程…そう言う事でしたら此方の棚の櫛など如何ですかな」

    「んん…いっぱいあって悩むなぁ…」

    「ふふふ…じっくりと選んでいただいて結構ですよ。決まりましたらば御声掛けください」

    「そうさせていただきます」

    さて、と顔を上げて視線を動かせば、桜の木の下に見えるは己の愛しき少女の姿………と、見慣れぬ男の姿。何やら男は熱心に彼女に話しかけている様でカゲロウは先程のたらればを思い出し、少しばかり傘の柄を握る手に力が入り、ギチリと嫌な音を立てた。
    僅かな音ではあったがその音を聞き逃す程、狩人達の教官たるウツシは鈍い男では無い。

    「カゲロウ殿どうかされましたか…?ん、アレ?小愛弟子?……と、んん…?あの男は…」

    「おやウツシ殿…あちらとお知り合いで?」

    「いえ、ほら、先程の櫛の件で」

    「クラウス殿と揉み合いになられたと言う里外の…?」

    「ええ、確かそうだったかと。ううん…良くも悪くも愛弟子達は目立つからなぁ…まぁ、小愛弟子ならクラウスみたいに短気で手が早い訳じゃないから大丈夫だとは思うけれど…いやでも、小愛弟子はなぁ…」

    「クララ殿が、何か…?」

    「ううん、小愛弟子は…ちょっと、ちょ〜っとだけ、そのですね…」

    「はい」

    「あー…その、暴虐性が……す、少しだけー…高くて…まぁ判断が早いと言うか…その、躊躇が…えー…無くて…普段はとても穏やかな子なんですよ、本当に」

    「なるほど…?」

    強かな部分があるのはカゲロウとて知ってはいたが…はて、暴虐性……と、カゲロウが気不味そうにしているウツシを見やっていれば件の男の怒鳴り声がカムラの往来に響き渡った

    「コッチ見て微笑んでくるから俺に気があるのかと思って、わざわざコッチから優しく声掛けて誘ってやってんのに断るなんざ、俺に恥かかせやがってどう言う了見してんだ!!」

    「恥かかせたって言われましても…私、別に貴方に微笑んだ訳では無いですし貴方に気なんて持ってないです…それに、こんな往来で怒鳴らないで下さい、小さい子達が怯えるじゃないですか」

    「うるせえ!ちょっと顔が可愛いからって調子に乗ってんじゃねぇのか!?大体…何だ…そういや、その髪と目の色と耳、それにピアスに見覚えがあるぞ…!そうだ、先日俺に殴りかかってきやがった野郎の身内か!?」

    「それ多分私のお兄ちゃんですねぇ」

    「兄妹揃って俺をおちょくってんのか!」

    「ええ…?確かにお兄ちゃんは短気ですけど…あんまり理不尽に見ず知らずの他人に殴りかかるわけじゃないので…」

    怒鳴る大柄な男に対して小柄な彼女はのんびり返答している。二人の間にあからさまな温度差があるのが見て取れる程だ

    「辺鄙な所にある里が弱り切った古龍をたまたま運良く討伐できただけで大盛り上がりしてっから、良い女何人かと金さえ見繕ってくれりゃこの俺が里について守ってやっても良いって酒の席で言っただけで通り掛かったヤツが殴りかかってきやがったんだよ!」

    「せめて女の人は1人って言ったら良かったんじゃないんですかね…?」

    のんびり激高する男に返答し続ける彼女だが、男の言葉にカゲロウの隣に立つウツシも、往来を行き交う里の者達もピシリ、と少しばかり殺気立つ。男が言う程容易いモノでは無かったのだと、この里で長年災いが齎す苦痛に抗い喘いで来た者達の心は語る。無論、このカムラを第二の故郷とするカゲロウとて同じ気持ちだ

    「大体てめぇもよぉ!ニコニコ色んな男に色目使って媚びを売ってんだろ!里の英雄様達が誰だか知らねぇが、どうせソイツ等だって似たような汚ぇ手使ってどっかの誰かに肩代わりしてもらって自分の功績にでもしたんだろうが!とんでもねぇ所だな!」

    いよいよ隣のウツシが里を、愛弟子達を愚弄するならもう我慢ならぬと男の方に歩み出そうと足を動かし、カゲロウも傷を負いながらも懸命に里を救い上げた彼等の、その愛しい彼女が無遠慮に喚き立てられる姿に手加減は出来ぬやもしれぬと騒ぎの渦中へ動き出そうとした時─

    「では頭を垂れろ、そして額突け」

    と、可憐な…しかし怜悧な静かな声が聞こえた瞬間、大柄な男は目に見えない何か大きな衝撃を受け派手に土煙を上げながら少女の眼前で地面に転がっていた

    「は…?」

    男は自分に何が起きたのか分からず呆然としている
    茶屋のヨモギは見なかった事にして目を逸らしていた。

    「…なぁんだ、里についてやるって大口叩いて言うからどんなに強いのかと思ったら…上位ハンターでもなさそうですし、貴方って尺取り虫よりもか弱いんですねぇ……でも地面、お似合いですよ〜ハンターは土に塗れてなんぼですもんね!」

    「なっ…!?」

    転がる男の顎を靴先でクイッと持ち上げつつ、彼女は小首を傾げ見下ろしいつもの様に愛想良く微笑みながら

    「後ですね、笑ってるのはその方が私も楽しいし、お話する相手も気分が良いじゃないですか、それだけです。私は心を捧げたいと思った本当に欲しい殿方にしか媚びは売りません。でも媚びの売り方なんか狩猟に必要ないし…教官からも教えてもらってないから知らないですけど。貴方と一緒にしないで。…それに、貴方ってカムラの里にとって害でしかないって分かっちゃいました!…殴るだけで潰さないなんて、お兄ちゃんったら優しいんだからもう!仕方無いなぁ…お兄ちゃん、里外の人間嫌いだし近寄りたがらないもんなぁ…」

    そう言いながら男の肩に足を掛けて、太い腕をまるで小枝でも拾うかの様に持ち上げた彼女を見て、師たるウツシは慌てて待ったを掛ける

    「小愛弟子!!待ちなさい小愛弟子!其れは駄目だよ!?」

    「あ!きょーかん!こんにちは!…ええ〜?何で?」

    だが、カゲロウは

    「何でじゃないよ!?真っ昼間の往来でする事じゃないからねソレ!見たら分かるからね俺!小愛弟子、君ソレ粉砕しようとしてるだろう!?駄目だよ!?」

    「ええ…?真っ昼間の往来じゃなかったら良いんです?じゃあ夜まで待ちます!大丈夫です!片腕片脚だけにします!せいぜい地べたを這い蹲って泥水啜りながらカムラから出て行ってくれれば後は勝手にコッチが何もしなくても何とかなります!」

    「ん〜!素直!!でもそう言う事じゃないんだなぁ!!何でそう君はちょいちょい暴虐的かなぁ…っ!?教官の俺に任せるとか、ゴコク様に任せるとか、里長に報告するとかあるだろう…」

    「潰せる時に可能性ごと潰した方が良いと思って……お兄ちゃんの櫛も割れちゃったし」

    「いやまぁうんソレは…、でもね俺も何もね、そいつに慈悲を掛けてる訳じゃないんだよ?小愛弟子。分かるね?」

    ウツシの言う、彼女の暴虐性を垣間見たカゲロウはと言えば

    「嗚呼……愛いな」

    うっとりと見詰めていた
    永く生きる竜人族。強い者は生命力が溢れてるのを感じれて大好きでなのである
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