旅の夜 最終話 ◇
ひたすらに求めあったあと、二人は広々とした浴槽の中で熱っぽい余韻に浸った。ひたひたと肩まで浸かる湯は心地よく、まったりとした肌馴染みのよさに疲れの溜まった四肢がほぐれる。
ケンジを背中から抱き締めた零次は、その耳許でこしょこしょと甘い睦言を囁いた。「可愛い」と「愛してる」を繰り返し、ほてりきったケンジの身体を耳朶をはみつつ愛でていく。
「んー、んー……くすぐったいよ、レイ君、ホントにのぼせちゃうから……」
初めはくすくす笑って身をよじるだけのケンジだったが、強烈な快感にさらされ何度も達ってしまったせいか、ついに零次の腕の中でくったりと伸びてしまった。
このとき、体力に自信のある零次はすっかり失念していた。愛しすぎて無理をさせてしまったが、この数日間のタイトなスケジュールは身体に堪えて当然だ。
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