雷神と暴君と悪魔が自慢するだけの神人私は色んな神界の神が利用するカフェのしがない一店員です。そんなカフェにある神々が来ています。
それは北欧最強の雷神トール様、大海の暴君ポセイドン様、暴食の司祭ベルゼブブ様です。御三方、すっっごい怖いです……かれこれ30分は無言かつ無表情で睨み合っております……なんでぇ…

「ちょっと、誰か注文取りに行きなさいよ」
「え、イヤです。あのメンチ切りあってる3人に話しかけたら殺される」
「フルラージュ、貴方が行ってよぉ……」

えー！！ちょっと私が遠い世界に行ってるあいだに何故か注文を聞いてくる事になってました……ぐすん、骨は拾ってください……って目そらさないでぇぇえ！！！！
こわいと思いながら店員なので頑張って注文聞きに来ました……近くで見るとトール様もポセイドン様もベルゼブブ様もとてもお顔が整っ……いえ、無表情で怖いです。ベルゼブブ様、ため息つかないでください

「ハァ……何度言ったらわかるのかな？一番綺麗なのはボクのニコだ。研究に向かっている真剣な横顔、何か閃いた時の笑顔、そしてボクに話しかけてくれる時の満面の笑みと妖精が歌うような声。天使か……天使だった……生きるのが辛い。いや、死んでいられない」
「ふん、余の小次郎が剣技を放とうとする姿をお前は見た事がないのか。チャコールグレーの瞳が的を射抜き、刀を振り落とした時の髪が靡くのが一際美しい。勿論、閨で蕩ける姿も良い」
「……奉先の黒い髪も方天戟を振るうと共に靡くのが一等美しい。侍女達によって香油を塗られ丁寧に梳かれているからな。確か東洋でみどりの黒髪と言ったか……」
「あ、あの……ご歓談の最中に申し訳ありません……」
「？」
「……」
「……」
ひぇ！！私はただ、注文聞きたいだけなのにぃぃ！！こわいよぉ！思わず同僚がいるキッチンを見る。アグリフォーリオが目を逸らしてる！！コルヌイエはサムズアップしないで！？ぺスカに至っては私のほう見てない！！
「あ、ごめん。注文取りに来たの？」
「はいぃ〜」
「んー、ボクはブラックコーヒー」
「……ホウジチャ」
「スーテーツァイは……無いな。ミルクティーを頼む」
「ブラックコーヒーをお一つ、ホウジティーをお一つ、ミルクティーをお一つですね。少々お待ちください」
「スーテーツァイ？なんだそれは」
「義父殿がよく飲んでいる茶の一種だ。中々美味い」
「ふぅん、ポセイドンさんが頼んだホウジティーは？」
「小次郎が淹れてくれる茶だ。グリーンティーの独特さが少ない」
「へぇ〜」

まだお話をしてる御三方にペコリと頭を下げて足早にキッチンに向かう。こわい。怖かった。威圧感でこわい。ラグナロクであの御三方を真正面から見た人類すごい、私だったら死んじゃう。人類滅ばなくてよかった

「おかえり〜」
「おかえりなさーい」
「おかえり」

3人の顔を見た瞬間に勝手に私の腰が抜けて涙が出てくる。本当に怖かった。カフェのはずなのにあの御三方の周りだけ死地って感じだった。二度と行きたくな……あ、注文されたの運ばなきゃいけなかった。私に押し付けた3人の誰かに持っていってもらおう。そうしよう。あんな怖い思いするの私だけじゃ不公平だもん。