報告のために船長室を訪ねると、ローは晒されたペンギンの顔をまじまじと見つめてきた。
「お前、本体どうした?」
「シャチんとこに緊急入院中です」
怪我人らしい怪我人もいない大勝利を収めた先日の戦いで、ペンギンの頭上のペンギンが唯一の犠牲者だった。名誉の負傷を適当に繕い終えた持ち主も「元とちょい違うな」くらいには思っていたのだが、それを「ちょい」だと思ってくれた仲間は残念ながら一人もいなかった。曰く、未知のクリーチャーを頭に生やすな。お前を真顔で見られない。
かくして先程、シャチが有無を言わさず「貸せ」と手を突き出してきた次第である。ペンギンの器用さ自体は船長のお墨付きなのだが、それが発揮されるかどうかにはムラっ気が強かった。
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