『オカルト』 猫と遊んで満足したところで大通りを歩いていると、赤いパーカーが路地裏に引っ込んでいくのが見えた。
知ってる道だ。猫を探しに行ったけど、やたらと道なりが複雑だった。抜けた先は思いのほかに広い空き地で、これはハズレだな、と思ったとき。ぞわりと寒気がした。血の気が引く。瞬時に踵を反し、急いでいたせいか帰りの道はやたらと単純に思えた。
おそ松兄さんそこ危ないよ。なんて言って信じてくれるかどうか。そこへ行ったのは数年前だ。好奇心もあり、こっそり後をつけることにした。
◇
数年前と変わらない空き地。ひとつ奇妙なことに気付いた。本当に、ほんの少しも変わっていないのだ。ふつう、整備されていない限りこんな状態は保てないだろう。増えていない雑草。名前も知らない花。そして、異様な空気。
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