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    かけない(´・ω・`)

    ##揺り籠

    揺り籠の熱③ ベレスはディミトリの胸に触れた。もう片方の手は、腰に回って支えてくれている腕をそっと撫で上げた。たくましい腕がピクリと反応するのがわかる。胸に当てた手のひらには、回る車輪と同じくらい忙しく動き回る心臓の鼓動が伝わってきて、くすりと笑みが漏れた。こんなにも心配げに眉尻を下げて見つめてくるのに、こんなにも動揺している。それが妙におかしかった。
     微笑みながら、ベレスは腰に絡む腕をほどくと、ゆっくりと体を起こした。体と体の間にできた隙間に、車内のぬるんだ空気がひゅるりと入り込む。
     けして冷たくはないが、寂しい。
     体が離れて遠ざかる温もりの代わりにディミトリと視線を絡めたまま、ベレスはそっとディミトリの膝から降りた。ベレスの一挙手一投足を見守るディミトリの視線に心が震える。心とともに喉が震えるのを感じながら、たった今まで横抱きにされてつつましく足を画してくれていたくるぶしまで届く長い長い裾を大きく摘み上げれば、白い素足の太ももまでがあらわになって、ディミトリの目が大きく見開かれるのが分かった。ベレスを支えてくれていた大きな手は、その膝上でぎゅっと拳に握られている。それだけなのに、ディミトリが確かにベレスを意識してくれているのが分かって、なにかに耐えているのが分かって、ぞくぞくと沸き上がる喜びに思わず笑みが漏れる。
     それから裾を払いながらまず右足から座面にひざをつくと、ベレスはディミトリの太くたくましいももの側面を撫で上げるようにゆっくりと足を滑らせた。ディミトリが膝の上で握った拳がぎゅっと力んだのが見えて、笑みがこぼれるのを止められない。ベレスはそのまま座面に乗り上げると、大胆に足を広げてディミトリの上にまたがった。ぎゅっと拳を握っていたディミトリの手は反射的に開くとちゃんとベレスの背に回って支えてくれて、入り込んでいたぬるい空気を追い出して、ぴったりと体を寄せ合えていた。体の前面がディミトリのたくましい体とふれあい、熱い体温と早鐘が伝わってくる。それだけなのに悦びがあふれてくる。
    「ベレス……」
    「ん……」
     耳朶をくすぐるディミトリの呼びかけに、ベレスは体を震わせた。
     時間としてはわずかだが、今の大きな動作に下着かぬるりと滑ったのだ。改めてひたりと張り付く冷たさと水気に、ベレスはいかに自分が興奮しているか、ディミトリを欲しているか実感してしまい、恥ずかしさと生々しさにぞくりと快感が背筋が震えるのを止められない。
    はぁ、と熱い息を吐き、ベレスはディミトリの首に両腕を回して唇をねだった。
    「ディミトリ、もっと口づけをして……抱きしめて……」
    「ベレス、いったい……」
    「足りない……もっと君を感じたいんだ。会えなかった期間の分も、感じたいんだ……」
    「っ」
     くわ、と口が開く音が聞こえたような気がした。


    令和4年7月4日
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