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    途中で止めたのでお焚き上げ。

    ##突発

    そうはならんやろ 修道院の片隅、人の気配はない代わりに自然の多い一角でベレスは屈みこみ、後を追ってきた犬たちの頭や腹を撫でたりと戯れていた。
    「あ、こら。ダメだよ。これは君たちの分じゃないんだから」
     脇に置いた軽食が入ったかごを催促するようにとがった鼻先と突かれ、ベレスは慌ててかごを膝の上にのせて上着をかぶせて隠す。食べ物を隠されてもなお犬たちはくんくんと鼻面を寄せてきたが、ほだされるわけにもいかない。ベレスは食べ物を上げられない代わりに、手を伸ばして彼らの頭をくしゃくしゃと撫でてやった。
     この犬たちは修道院で飼われている。他にも猫や梟などもいるが、ただ愛玩用に飼われているわけではない。害獣の駆除したり不審者や不心得者に対処したりなど、彼らは彼らなりの仕事を任されているのだ。
     どこからか匂いを嗅ぎつけて寄ってきては餌をねだったり腹を見せたりと人懐っこい姿ばかり見ていたベレスは、果たしていざというとき本当に役に立っているのだろうかと疑わしく話し半分に聞いていたが、どうやらそれは本当だったらしい。
     ひゅるりと風が吹いて、緑の茂みが揺れた。
     その直後、相好を崩して舌を見せていた犬も、腹を見せて撫でられ体をくねらせて喜んでいた犬も、弾かれた様に体を起こしピンと耳を立て、こんもりとした茂みの一点を睨みつけながら歯をむき出しにしてぐるぐると唸り声をあげて威嚇しだしたのだ。
     今にもとびかからんばかりの犬たちの剣幕に感心しながら、ベレスは茂みに向かって声をかけた。
    「誰かそこにいるんですか?」
     犬たちを制止しながらしばらく待っても、応えはない。
    「声が出せないなら、茂みを揺らしてくれませんか?」
     やや経ってから、かさ、と微かに葉が擦れる音がして弱弱しく茂みが揺れた。よくよく見てみれば、地面と低い枝葉のわずかな隙間に手か足か、小さな白っぽい被毛が見えている。けれど同時に犬たちの威嚇の声が大きくなっていた。迷子だろうか、見慣れぬ嗅ぎ慣れぬ匂いの存在に、番犬たちは容赦がない。これでは大丈夫だから出てこいと言っても説得力はないだろう。
     ならばとベレスは立ち上がった。
    「これからそちらに行くよ。嫌だったら、茂みを揺らして」
     少し待ってみたが、茂みは揺れない。同意を得たと判断したベレスは、警戒する犬たちにその場で待つように繰り返し言い聞かせてひとり歩を進めると、茂みの前でそっと屈みこんだ。おいで、と呼び掛けた刹那、ちらりと見えていた白い手は一瞬引っ込んだが、またそろそろと姿を見せてくる。よく見てみれば白いと思っていた手は毛の色というより、乾いてこびり付いてしまった泥の色のようだった。
    「大丈夫だから。捕まえたりしないから、出ておいで」
     けれどそれは姿を現さない。出てくる気配はないが、ちょこんとはみ出た手か足が引っ込む気配もないから、逃げ出すつもりもないのだろう。ただ出てくるかどうかを迷っている。出ていいのか迷っている。それならば。
    「驚かないで。逃げないでね」
     言いながらベレスは手を伸ばし、小さなつやつやした葉と固い枝が密に茂るそれを力を入れてかき分ける。小さな手がびくりと慄く様子があったが、ベレスの声掛けに応えて逃げ出さずにいてくれたようだ。
    「こんにちは。初めて見る子だね」
     かき分けた緑の茂みの下で見慣れない小さな犬がうずくまり、細かく震えながら黒くて丸い目を見開いて困ったようにベレスを見上げていた。
    「出ておいで。おなかは空いていない?」
     言いながら、ベレスは茂みを押さえる手の片方を離し、傍らのかごを引き寄せた。弾性の強い茂みは手を離した瞬間にあっという間に戻り、枝葉を押さえるもう片方の手をぶって揺れてようやく落ち着いたようだ。跳ねた枝葉に肌を引っ掻かれたが、茂みの下の小さな姿を見失いたくなくて痛みはこらえる。代わりに、かごの中からパンを取り出して、小さな鼻先に向けてパンを振った。
    「ほら、美味しいよ?」
     少しの間思案するようにじっとパンを見つめていた小さな犬は、ふいにハッとしたように立ち上がるとそろそろと茂みから姿を現し、ベレスが持つパンに顔を寄せ、そのまま食べるのかと思いきやベレスの指先をぺろりと舐めた。
     小さな擦り傷が沁み、痛みが走る。
     反射的に舐められた指が跳ねると、小さな犬は我に返ったようにあとじさった。このまままた茂みに隠れられては困ってしまう。ベレスは淡く微笑んだ。
    「ありがとう。もう平気だよ。君は優しいね。さあ、遅い朝ごはんにしよう。私も腹ペコなんだ。付き合ってくれると嬉しいな」
     短い言葉を連ねて誘えば、ベレスの意を汲んでくれたのか、小さな犬はそろそろとベレスのもとに寄ってきてくれた。ベレスは当たり前のように小さな犬を抱き上げた。奇妙なまでにカチコチに固まった腕の中の犬に首をかしげながら、ベレスはかごを片手に踵を返した。
     やはり見慣れない姿、嗅ぎ慣れない匂いを警戒してか、ベレスが抱きかかえる見慣れない異物を犬たちはしきりに吠えたてる。ベレスがいるから吠えるだけで済んでいるが、もしいなかったならば飛び掛かっていきそうな勢いだ。過剰なまでに警戒する犬たちに、ベレスは声をかけた。
    「大丈夫。この子は怪しい子じゃないよ。責任は私がとるから、君たちはもう向こうへお行き」
     繰り返し呼びかけるうちにやがて犬たちの怒気は静まり、やがて連れたって踵を返していった。
    「ふう。これでゆっくりできるね。さあ、食べよう」
     いいながらベレスは腰を下ろし、抱えた犬も――膝の上にのせて食べさせるつもりだったが短い手足を突っ張って断固拒否されたので草地に――下ろして、広げた布巾の上に持ってきた軽食を広げた。
     最初は食べにくいだろうからと、ベレスがちぎったパンを小型犬の口元に差し出してやっていたのだが、小型犬は戸惑ったように固まり、パンとベレスを交互に見た後そろそろと後ずさってしまったため、最終的に白い清潔な布の上に置いて隙に食べさせてやることにした。食べなれないのか、小さな口でパンをかじってもそもそと食べる見慣れぬ犬を、ベレスは一緒に持ってきていた林檎の皮をむきながら様子をうかがう。
     見慣れぬこの犬はベレスが片手で抱えられるほど小さく軽かったが、その小さな顔を見るに仔犬というわけではないらしい。どちらかといえば成犬のくくりに入るだろう。汚れた手から白いと思われた被毛は、全身を見れば実は淡い黄色で、しかも引きずりそうなほど長い。そのためか葉や土やほこりがまとわりついてひどく汚れ、毛糸のように撚れて束になってしまっているのが哀れだった。この有り様や番犬たちの様子を見るに、吠えたてられ追い回されて、散々な目に合ってきたのだろう。
     ゆっくりとだがパンを食べきった犬の前に、ベレスは切った林檎を差し出した。
    「これも美味しいよ」
     見慣れぬ犬はまたもベレスと目の前の食べ物を交互に見やり、けれど今度は後退りすることなく食べ始める。しゃりしゃりと音を立てて食べる様子を目を細めて満足げに見やりながら、ベレスも林檎にかじりつき、やがて尋ねた。
    「君、これからどうするつもり?」
     林檎をかじっていた犬はぴたりと動きを止め、大きな黒く潤んだ目でベレスを見上げた。真っ黒と思われた目は、陽光を反射してほのかに青みを帯びているのが見える。わんともきゃんとも言わず、じっと苦難に耐える様はけなげでいじらしい。
     ベレスは林檎の汁が付いた指先をなめとってから、この犬の頭を撫でた。汚れた黄色い毛の下には小さな頭蓋がある。あまりに軽やかではかない気配に、ベレスは目を細めた。
    「君がよければ、今日いちにち付き合ってほしいのだけれど、どうだろう」
     頭をするりとなで、体の前に手を差し出す。頭を撫でられているあいだ固く目をつむっていた犬は、ベレスの手と顔を交互に見やり、少しためらうようなそぶりを見せたあと、そっと小さな白く汚れた前足をベレスの手に乗せたのだった。

     




    お題だった「これ以上焦らすと……何をするかわからんぞ?」で書いてたけれど書けば書くほど三次創作というかパクリみたいに思えて仕方なくなってきたのでここらでやめとく。よくある話だけど予定ではなんやかんや焦らされてた真っ裸殿下が最終的にケモ耳先生に何かして朝を迎えるはずだった└(└ 'ω')┘< Fooooooooo


    別パターンのよくある話で朝起きたら幼児になっちゃててそうとは知らず見知らぬ子どもが殿下の部屋に?!とパニック起こす幼馴染組をよそに別の用件ながらも偶然同時期にガルグ=マクに来ていたロドリグ殿マティアス殿と絡まれていたギルベルト殿は「殿下の幼いころとうり二つだな……あっ(察し)」となって預かり殿下不在は大人の事情ということで子世代(殿下含む)を宥めつつからかいつつこそっと「心からあなたが思いおなたを思っている人と口づけるするとその呪いは解けますよ(本当は時間経過で解呪する)」と嘯かれて動揺しているところで先生登場してお世話でおしつけられ一日どきどきびくびく過ごしながらなんやかんや一晩過ごし翌朝早くに元の姿に戻っていることに気づいた殿下がどぎまぎしながら慌てて先生の部屋を出たところでにやにやするロドリグ殿と野暮に付き合わされて渋面のマティアス殿と元教育係として胃を痛めているギルベルト殿と遭遇する話も考えたけどお題とそれまくってるし書ける気しないしマティアス殿のお人柄を知らないので誰か代わりに書いてほしい。


    2022年10月7日
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    Replies from the creator

    recommended works

    masu_oekaki8810

    DONE2023年6月、私は自分のスマホの機種変をした。これはその記録、というより自分のための覚書のつもりだった。
    しかし「二次創作にしたら書いてて楽しいのでら?」
    と思ったので霊幻新隆に機種変させることに。
    結果的に私の機種変の正確な記録ではなくなったけど(コツコツとコピペで移したのはメモアプリではなく、いつも二次創作小説を書いてるPencakeというアプリ。有料版しかデータ移行できん!)良しとしよう。
    霊幻新隆のスマホ道 モブに持たせていたガラケーをスマートフォンに買い替えたのは、モブが事故にあって色々大変なことになった後だ。
     律からは「どうせならiPhoneを」と勧められていたようだが、モブは俺の副回線契約だったので必然的にAndroidスマホになった。(あの頃、codomoはiPhoneは扱ってなかった。というかあんな高いオモチャ、中学生に預けられるか!)
     幸い中古市場もすでに充実していたので、モブには当時の最新のから一年前の機種をほぼ新品で渡すことができた。カメラ機能もガラケーのよりだいぶ良いし音楽や動画も再生できる。中学生には十分だろ。お店の人に聞いてインターネットはフィルタリングかけておいた。あいつもお年頃だからな、当然エッチな言葉で検索もかけるはずだ。俺なんかは国語辞典や広辞苑を開いてエッチぽい単語を延々と調べたものだ。中学は人生で一番辞書を読んでいた時期だ。(お陰でそんな読書しないわりには語彙もそこそこ増えた。)モブが俺の渡したスマホから不健全な情報を得てるとなったら親御さんらに合わせる顔がない。どうしても知りたいことがあるなら正しい性知識の本を用意して読ませてやるからな、ネットでデマや変なこと吹き込まれるんじゃねーぞ、と遠回しに注意してスマホを渡してやったのが10年前、ついこないだのことみたいだ。
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