貴族の日和と人魚の泉日和が席に座って少しするとオークションが始まった。今日の品揃えも特に目を引くものがないと思っていたが、最後の最後で大物が出てきた
「さあさあ、本日の目玉商品！生で目にできるのも珍しい！生きた人魚であります！」
謎の男達によって運ばれてきたのは、5メートル四方の水槽に首輪と手錠で拘束され、尾びれの根元に鉄の重りをつけられた人魚だった
「こちらは本日生け捕りをしました、珍しい男の人魚であります！」
拘束された人魚は美しく流れるような銀髪にアクアマリンのような瞳を携えている。白く美しい肌に整った容姿はまるでお人形のようだった
「捕まえるのにも苦労しましたので100,000,000L$からスタートでお願い致します！」
司会の茨の声と同時に次々と男達の声が飛ぶ。あまりにも低俗な争い
「110,000,000L$！」
「200,000,000L$！」
「500,000,000L$！」
「1,000,000,000L$！」
そんな中、値踏みをするように人魚を見ると、人魚の瞳が日和と合う。人魚は助けてほしいと言わんばかりに目で訴えかけてくる。今声を荒げている男達の手に渡れば一生見せ物になって暮らすことは間違いないだろう
「おおっ！1,000,000,000L$行きましたな！他に欲しい方は…」
「1,000,000,000,000L$」
札を上げ金額を提示する日和の方を、その場にいた全員が見る。司会の茨も驚いた顔をしていた
「い、1,000,000,000,000L$！他はおられませんか？」
辺りがざわざわしだすが、他に札を上げるものはいなかった。低俗な奴らにこの金額は出せるものではないとわかっていたからこそ、出した金額だった
「おられませんな！では、1,000,000,000,000L$で落札であります！」
最後の目玉商品を落札し、オークションは終了した。買った人魚を即座に家に送るように指示をする日和
「いやいや！まさか殿下に人魚集めの趣味があったとは！」
「そんな趣味はないね。ぼくが欲しいから買った、それだけだね」
「本当でありますか？あの値段はさすがの殿下でもほぼ出さないはずですが？」
「今日はそういう気分だっただけだね。ほら、早く家に送り届けるね！」
「アイ・アイ！迅速かつ丁寧にお届けいたします！」
敬礼する茨によろしくと言うと拘束具を外す用の鍵を受けとる。そのままオークション会場を後にした日和は真っ直ぐ家へと帰っていった