寒い日の話 昼休憩が終わりを告げ、暖房の効いた店から出ると灰色の空とひやりとした空気が出迎えて思わずアオキは体を震わせた。
そういえば今日は雪が降るとニュースで言っていたなと朝の記憶を手繰り寄せ、スケジュール確認と直帰の算段つける。扱うポケモン同様、寒さに滅法弱い恋人が寒い寒いと悲鳴をあげながら帰ってくる家へ早めに帰り暖めてやろうと口の端が上がった。
「か、帰りましたです……へっくしゅん!」
「おかえりなさい。今、風呂の用意してるんで沸くまでリビングで待っててください」
「ありがとうございますです。うー…寒いですよ……」
予想通り寒さに打ちひしがれながら帰ってきた恋人のハッサクを迎え入れたアオキはキッチンに引っ込む。
3602