大好きなあなたに十二月も半ばを過ぎ、年末特有の忙しなさが本格的となってきた瀞霊廷。
十番隊の隊主室前では、五番隊の副隊長が困っていた。所属と名前を告げて声をかけたにも関わらず中から返事が来ないのだ。通常なら、隊長から入れと許可が出るか、副隊長が軽く返事をして扉を開けて迎え入れてくれる。いつもならそうであるはずなのに、と今一度声をかけたが返事が来ない。
大抵どちらかは居るはずなのだが二人とも出払っていて本当に誰もいないのかもしれない。それならそれで出直そうか、それともこの書類だけ置いてメモでも残しておこうか。
他の隊ならば絶対にしないが、十番隊は勝手知ったる仲だから別だ。勝手に入っても怒りはしないだろう。
ふぅとため息をついて仕方ないよねと扉を開けた。
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