切っ掛けはSNSで見たうろ覚えで描いたキャラクターの画像だった。白紙に黒い線で描かれたそれは、キャラクターの特徴が分かるような、そうでもないような、何とも言えないものだった。それでもどこか味のあるイラストだった。元のキャラクターが知っているキャラクターだったので、俺達も描いてみよう、という話になった。
「シュウは絵描いたりする?」
ヘッドホンから楽しげな声が聞いてくる。
「全然」
俺は普段全く使わない標準のペイントソフトを起動して、機能を確認しつつ答える。
「昔、授業で描いたくらいだな」
モニターに映る白紙の上でカーソルを動かして、試しに黒い線を書いてみる。思ったよりガタガタになってしまい、難しい。
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