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    ふみねじこんびのじゃんぬ祭り

    会話文のみ
    出かける前だけだと……?

    3/1 更新
    ついに出かけました。
    そしてこの件の黒幕も登場。

    じゃんぬらんよう「ねぇフーミン、今日時間あるよね? あ、ある? よかったー! よし、お出かけ行こう」
    「オイ、お前は誰と会話してんだ。想像力で俺を補完するな」
    「あぁ! こんなところにリアルフミ! 今しがたイマジナリーフミとデートの約束したところー」
    「俺が用事あったらどうすんだよ」
    「え? だって無いってさっきフミが……」
    「あー分かった分かった。どっか行くんだろ、分かった」
    「さっすが、飲み込みが早いね!」
    「ま、別に用事はねぇしな」
    「きゃーさっすが高科さん! クォーツのアルジャンヌ! 万年金賞男!!」
    「んだよそれ……で、どこ行くんだ?」
    「そろそろ日用品がヤバしな状態だったりするからそれの買い物とー、あとはキャフェね」
    「カフェ?」
    「ツカサから聞いたんだけどさ、何でもこのご時世に女性限定のオシャレカフェがあるみたいで」
    「へー、スイーツバイキングとかなら聞いたことあるけど、カフェで女性限定な」
    「そ。興味そそられるでしょ? 生来変えようのない隔たりによって拒まれるその先に何があるのか、気になるでしょ!?」
    「いや……うん、ねぇって言ったら嘘にはなるけど。でもお前、そのカフェ行くつもり?」
    「ずっとそう言ってるでしょ」
    「お前、自分の性別知ってる?」
    「これ以上ないってくらい健全な十七歳の男子だよ?」
    「それは分かってんだな」
    「フミこそ、僕が何で君を今日のパートナーに選んだかを分かっていないみたいだね」
    「いや、分かりたくねぇだけ」
    「クォーツのアルジャンヌとジャンヌ映えのいい僕とで行けば、どこからどう見ても色香溢れるオトナ女子の出来上がりってことよ!」
    「はぁ…………今日時間あるなんて言うんじゃなかった」
    「そーんなため息つかないで、大丈夫よ、おフミさん。誰もが振り向く飛びっきりの美人にしてあげるから」
    「心配してんのはそこじゃねぇ……ジャンヌすんのはいいけど、それで世間に乗り込もうってのはヤバいだろ?」
    「バレなきゃいいでしょ」
    「バレ……いやさすがに五分五分だろ」
    「だってだよ? さすがにお店の人も『あなた男性ですよね?』なーんて、無心でカフェタイムを楽しむ僕ら二人に不躾御無礼なことは言わないって」
    「……バレたらシメるからな」
    「あらあら、アルジャンヌとは思えないドスのお効きになった声色……キャピキャピ楽しむつもりが、僕の命がかかったスリリングなお出かけになる予感」




    ・フミ【対世間用女子擬態ファッション】
    セミロングのウイッグ -ハーフアップで清純度プラス
    タートルネックのニット -喉元をカバー
    ざっくり編みのガウン -大きめサイズで腕をカバー
    プリーツ多めのフレアスカート -分かりやすい女性らしさ
    ヒールローファー -ヒールは低め


    ・ネジ 【文学系清純派オトナ女子】
    地毛をストレートに -オトナ女子ポイント
    襟付きリボンブラウス -甘めオトナ女子ポイント
    スカートとセットアップのキレイめジャケット-オトナ女子ポイント
    ジャケットとセットアップのタイトスカート -膝丈 オトナ女子ポイント
    黒の革ブーツ -ヒール高め イケ女子ポイント




    〜〜〜〜〜


    【こんにちはカフェ】


    「さて、必要なものは買い終わったし、あとは……」
    「あっ、ねぇ見てフミ! あれあれ! 私の言ってたキャフェあれ!」
    「はいはい、カフェね。へー、外観すごくオシャレじゃない」
    「ほんっとに! 白い石壁とか木枠の窓とか壁這う蔦とか、ほんとおとぎ話のおウチみたい! ね、女子が集うのもわかるでしょ?」
    「女性じゃなくても気になる外見だものね」
    「よしっ早速行ってみましょ!」


    〜〜〜〜〜


    【(潜入中)】


    「あ、一番奥の席よフミ! 潜入捜査中のぼ……私たちにはピッタリの席!」
    「ちょっと人の後ろでコソコソしないで。アンタいつから捜査官になったわけ?」
    「いい? フミ。いついかなる時もステルスの心を忘れちゃダメ。こういうのは目立ちすぎず消えすぎず、平常心を保つのが――」
    「はいはい、分かったから。ただでさえややこしい状況に設定加えないでくれる? ほら、何にするの?」
    「もう、私のありがた〜い指南を清流のように流しちゃって。後悔しても知らないんだからっ」
    「しません。あ、これなんて美味しそうじゃない。イチゴたっぷりのパンケーキ」
    「限定おすすめですって! じゃあそれとー……スクエアチョコケーキ。美味しそうじゃない?」
    「いいんじゃない? じゃ頼みましょ」


    〜〜〜〜〜



    【カフェの闇】


    「…………」
    「…………」
    「……クロ」
    「あはは、すっごーい! これ食べ切るのにコーヒー何杯必要になるかしらっ」
    「……顔ひきつってんぞ」
    「あはは……いや、だってさ……さすがにさ、こんなに大きいとは思わないじゃん?」
    「それぞれ俺らの顔くらいあるな」
    「え、怖い……顔の大きさのパンケーキとか、純粋に怖い」
    「ケーキに至ってはほぼホールケーキだしな」
    「狂気……スイーツの狂気を感じる」
    「……でもよ、ほらテイクアウトできるらしいぜ」
    「あっ、そう……それじゃあ……お持ち帰りに甘んじようかしら……うふふ、うん、ちょっと私たちには量が多かったみたいね……」
    「……さすがの私もこの量は手に余るし……戻れば食べ盛りの子たちがいっぱいいるしね」
    「そうそう、あの子たちにあげましょ。うん、きっと喜ぶわ」



    〜〜〜〜〜


    【黒幕】



    「はぁ〜〜……何とか脱出できた」
    「いっやぁ、刺激的なお店だったね〜。びっくりしちゃった」
    「俺らフツーにカフェ行ったつもりなんだけど、なんでお土産がホールケーキとバカデケェパンケーキなわけ?」
    「これが未知との遭遇だよ。この世の深淵さ……」
    「ジャンヌで外出歩いて、出会ったのがコレか……」
    「面白かったからいいじゃない! いやぁでもね、素で引いてる高科更文ってのはレアだったねぇ」
    「なんでそこなんだよ。でもあれはさすがにな……」
    「これでツカサに良い報告ができるわん」
    「は?」
    「え。あいや、なんでもない」
    「…………なぁ、クロ。この店、ツカサに聞いたって言ってたよな?」
    「……そう、だったっけ。ちょっと何よ、そんな怖い顔しないで」
    「まさかとは思うが、ツカサにあの店の調査でも請け負ったか?」
    「ええ? 調査? 僕が? あの店を? なんでわざわざ」
    「お前ら、よく悪だくみしてるだろ」
    「そんな、言いがかりはよくないよ高科くん」
    「……考えようによっちゃあ、お前らの利害なんていくらでも一致するしな」
    「やだもう怖い怖い、細かい男は嫌われるわよ? フミ子」
    「うるせぇな。ジャンヌまだ続くんかよ」
    「そろそろヒールも疲れてきたし、戻りませんこと? せっかくもらったフミの一日、無駄にできないし」
    「は? ……まだなんか企んでるな? てか一日全部あげた覚えはねぇ」





    〜〜〜〜〜





    【番外編 : 数日前のとある廊下】



    「コクト〜」
    「おやこれはロードナイトのボス!」
    「そんな色気のない呼び方やめてちょうだい。あのね、実は面白い話があって……」
    「おやおや、出会い頭の面白話、ぜひお聞かせ願おう」
    「最近SNSで流行ってるカフェがあってね。ちょうど玉阪駅近くなの」
    「あら、それはお宅のジャンヌ殿たちが色めき立つ話題だね」
    「お察しの通り。でもね、そこ、女性限定なんですって」
    「女性限定? カフェなのに?」
    「そう、珍しいわよね。でも稀たちが行きたいってうるさいもんだから、困ってるのよ。あの子たちは女子っぽくして乗り込むから問題ないって言うけれど、もしバレた時は大変でしょう?」
    「ふーむ、なるほど。女性限定のカフェ。何が有名なんだい?」
    「それも分からないのよ」
    「秘密?」
    「そう。メニューも食事も写真の掲載はNGなんですって。だからなおさら好奇心をそそられているみたいでね」
    「まさに秘密クラブ。そして僕らが立ち入ることの出来ない聖域か……」
    「私とかフミとかコクトであれば、そつなく入ることはできると思うんだけど」
    「……フミねぇ」
    「それでね、コクト、ひとつ提案なのだけど」
    「ん?」
    「あなた、フミを連れて例のカフェに行ってきてくれない?」
    「……その心は?」
    「あなた方がカフェの全貌を解明、私に教えてくれれば、私から稀たちを説得できる。あの子たち最近遊びすぎだわ」
    「で、僕らのメリットは?」
    「そうね、何でも、とまでは言えないけど、できる範囲のことなら、あなたの言うこと聞いてあげてもいいわ」
    「ツカサがそこまで言うなんてね。それほど弟くんに手を焼いているの?」
    「そうでもないけど……たまにはちゃ〜んとお灸を据えないとね」
    「ふっふっふ……いいだろう。条件を飲もう! 僕は近日中にフミを連れて例のカフェに潜入する。純粋に面白そうだし。そしてこちらからの条件は……」
    「条件は?」
    「ツカサに僕の新作脚本をやってほしい」
    「あら……」
    「い〜い感じのとっておきの話が出来上がってね! 役柄的にツカサが面白いと思ったんだ。そして相手のジャックはフミでやりたい」
    「あらあら……フミとできるなんて。それは全然構わないわよ。ふふ……楽しみにしているわ、どちらもね」

















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