キミと祝う誕生日早朝から賑わう市場で目当てのものを購入する。年中然程変化のないこの土地の気温は穏やかで海風が心地好い。
海の近くで生まれ育った為か、どこか故郷を思い出すこの場所に住むようになって1年が経とうとしている。
海が見えて、バスケットのリングがある庭に住みたいーーー、とかつて言っていたパートナーの要望通りの場所を見付け、案内した時の嬉しそうな笑顔が今でも昨日の事のように思い出せる。
言葉も違う不慣れな土地で、一緒に暮らしていくことを決めてくれた寿さんには本当に感謝している。
早く愛しい人の顔が見たくなって、だんだん足が早くなっていく。
緩やかな丘を登ったその先、青い屋根の自宅を目指す。
パンを抱えて帰宅すれば、予め準備しておいたコーヒーのいい匂いが漂っている。
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