たった一言の言の葉を珍しく予定もなく揃った六年全員で長屋前の庭先で鍛錬することになった。各々の得意武器は庭先では危険だと言うことで組手をする事になった。今はい組とろ組で組手をしているのを同室の伊作と休憩をしながら眺めている。
「文次郎、前よりもキレが良くなったなっ!」
「鍛錬量なら、俺が一番だから、なっ!!」
文次郎と小平太が合間に言葉を交わす。体力バカの小平太に褒められて文次郎は嬉しそうだ。俺との場合、こんな穏やかな空気にはならない。ついさっきも言い合いになり、鍛錬どころではなくなると周りに止められたばかりだ。
「ねぇ、留三郎」
「ん、何だ伊作?」
隣から掛けられた声に視線を移す。竹筒を差し出され、俺は素直にそれを受け取った。冷たい水が喉を潤してくれる。
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