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    山放もどき
    原稿しなきゃいけないのに砂糖吐きそうな話が描きたくなった

    初めてだ、こんなに緊張して放哉に手を伸ばすのは。
    向かい合って正座している放哉の顔はこちらを向いていないが耳が赤くなっている。きっと山頭火自身も真っ赤に染まっているのだろう。そっと手を重ねてみれば面白いほど大きく、放哉の身体が跳ねた。
    「放哉、いい?」
    そっと声をかけたつもりが掠れてしまって、必死になってしまっているのが筒抜けだ。放哉が小さく、けれどはっきりと頷く姿が健気で愛らしくて、山頭火は胸が高鳴るのがわかった。
    そっと手を放哉の頬に添えて顔を上げさせてみれば、白い肌が赤くなっていて、いつもは気怠げに伏せられた真っ赤な目も艶やかに見えた。
    山頭火が、彼をそんな姿にしたのだと思うとごくりと喉が鳴る。顔を近付けて唇を重ねれば放哉は何も言わずに受け入れてくれた。
    そのまま唇で頬に、首筋にと触れていく。肌にあたる度に放哉の身体がぴくりと跳ねていった。喉仏に触れてみれば、触れた瞬間に喉が鳴ったのか動くのがわかって思わず笑みを浮かべた。
    「なあ、早く」
    「だって放哉、綺麗だから」
    青いパーカーを脱がせて、露わになった鎖骨にも唇を寄せる。音を立てて離せばふるりと放哉の身体が揺れた。
    心を通わせて、ようやく放哉から許しも貰えて。時間だって限られているのはわかっているけれどそれでも普段触れることのできない放哉の肌を触りたいのだ。
    「……変なやつ」
    「そんなやつが放哉の恋人だよ」
    「うるさい」
    ふい、と顔を赤くしながら視線を逸らす放哉に山頭火は気の抜けた笑みを浮かべてもう一度唇を重ねた。目を閉じて受け入れてくれる放哉が愛おしくて仕方がない。
    山頭火はそっと白いシャツの裾から手を入れながら、ベッドに放哉を押し倒した。
    夜はこれからだ。
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