【現WT】笹の葉さらさら『恐れ入りますがもう閉店時間ですよ、ミスター』
頭上から降ってきた流暢な英語に、ウェドは長らく突っ伏していたカウンターからのそりと顔を上げる。
先程まで店内を掃除していた長身の店主は、既にこちらに背を向けてエプロンの紐を解いていた。
『今、何時?』
『閉店時間だっつったろ?0時…と言いたいとこだが、清掃も終わって1時回ったとこだよ』
23時頃までの記憶はある。
7月7日。今日はサリア考案のバータイムを使った七夕パーティーイベントで、キッチンで役に立たないウェドははじめからシフトを外されていた。
外は生憎の大雨だった。だが常連からサリアがSNSで呼びこんだのであろう若い客層まで、店内はそこそこの賑わいを見せており、ウェドはその中にテッドが現れるのをずっと待っていたのだ。
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