文具沼住人な大倶利伽羅くんと本の虫な鶴丸さん① 大倶利伽羅の部屋は物が多い。とにかく、物が多い。綺麗に整頓されているから散らかっているという印象は受けないのだが、私物の多さでいったらおそらく本丸一ではないかと鶴丸は思っている。
まず、万年筆だけで三十はある。そのほかにも、ボールペンだとかガラスペンだとか、書く道具だけでかなりの数になるのだ。それらは綺麗にケースに納められていて、大倶利伽羅は非番の日によくそれを眺めていた。表情筋が硬くなかったらそこに笑顔が浮かんでいたかもしれない。
筆よりも現代に出てきた筆記用具の方を好むようで、よく自分のノート(これもまた、大量にあるのだ)に和歌や漢詩を書き写している。書いている内容には興味なく、ただ書く題材として選んでいるだけのようで、真顔で恋の歌を書き写していたときは、流石の鶴丸も驚いた。
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