鶴丸国永の宝箱 美しいものを見た。
「……飽きないのか」
「飽きないねえ」
大倶利伽羅が呆れた声を出すのを、鶴丸は笑って返す。
話している間も、大倶利伽羅は手元から手を離さない。
手入れの最中である。
怪我によるものではない。己の刀を手入れしているのだ。審神者は物の心を聴くことができたが、かといって刀の扱いに関して詳しいわけではない。そのため、打粉などを用いての刀の手入れは自分の手で行う。
鶴丸は、大倶利伽羅が手入れしている姿を見るのが好きだった。大倶利伽羅もそれがわかっているから、もう諦めて追い返すことはしない。眺めている時、鶴丸が静かにしているせいかもしれない。ぶっきらぼうだが、優しい男だ。
「美しいな」
彫られた龍の、美しいこと。
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