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    🌸忘羨二次創作垢🌸

    @purinrin17_1

    忘羨専門二次創作する人

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    POIPOI 65

    夷陵老祖が隠れて藍湛と仲良ししてるの、書くの好きなんです・・・・前書いたやん!と思わず、ソッと見逃してやってください・・・。

    #忘羨
    WangXian
    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation
    #BL
    #献舎
    sacrificeOneselfToAFriend
    #藍湛
    indigoBlueWaterlogging
    #魏嬰
    weiYing

    二次創作 【藍忘機、夷陵老祖を隠す】肌を優しく撫でられる感覚がした。
    「師…姉…?」
    魏無羨は薄く目を開く。橙色の光が目に入り、しぱしぱと瞬いた。火の光のようだ。体を起こし、ぼう…と前を見る。岩がたくさん見えた。パチパチと焚火の音が聞こえる。
    「ここ、は」
    「気づいたか」
    「藍湛…!なぜお前が…」
    魏無羨は一体何があったのかと周囲を見回す。ピチョン…と冷たい水が頬に落ちた。どこかの洞穴のようだ。
    藍忘機に額を触られ、魏無羨はバッとその手をほどいた。
    「失せろ。お前、今の状況をわかっているのか」
    できるだけ低い声で、警戒をしながら魏無羨は言った。

    自分は大罪を起こした夷陵老祖。金家の夫婦を死に追いやってしまったのだ…。あの群衆の中に藍忘機はいた。藍忘機と自分は敵対する間柄のはずなのだ。陳情を口に充て、攻撃の態勢に入る。

    「熱は無いか」
    まったく見当違いな答えが帰ってきた。藍忘機を睨み、魏無羨は立ち上がる。どうやら藍忘機に戦う意思が無いと感じられ、陳情を降ろす。しかし警戒はつづけた。相手は自分と互角だった人間。金丹が無い状態でどこまでやれるかと魏無羨は戦う算段を瞬時に練る。

    「ここで軟禁でもしろと命じられたか?」
    「…座りなさい」
    藍忘機はただ静かに言った。よく見ると、藍忘機はいつもとは違った服装をしている。見慣れない薄青色の衣服を身にまとっ
    ている。何か事情があるのかと魏無羨は考えた。
    「答えろ藍忘機。ここはどこで、なぜお前が俺の介抱をしている?」
    「何も覚えていないのか?」
    「どういう事だ」

    「ふわぁ…あ!起きたんだ」
    魏無羨は目を疑った。
    「阿苑!」
    今しがた起きたようで、温苑が目をこすりながらフラフラと寝ぼけながらやってくる。幼子を見た瞬間、魏無羨の警戒は解かれた。涙を目に浮かばせ、膝をついて温苑を抱き上げる。
    「ああ…阿苑、お前だけでも助かって良かった………!」
    温苑が欠伸をしながら魏無羨の頭を撫でる。
    「なんで泣いてるの?おなかすいてるの?」

    温苑を胸に抱きしめ、魏無羨は顔を上げる。
    「藍湛、お前が阿苑を助けてくれたのか?」
    藍忘機は頷き、答える。
    「温氏の死体の中にその子はいなかった」
    きっと取り残されたのだろうと藍忘機は考え、向かってみた。温苑は高熱を出していたが、命に別状はなかった。
    「そうか、熱の看病まで…藍湛、ありがとう…だが、ここから先は別行動だ」
    「なぜ」
    「わかってるだろう?俺は追われる身だ。大悪党扱いされてるんだぞ。一緒にいたらお前まで…」
    「かまわない」
    「何がかまわない?お前と俺はなんの関係も……」
    「友だ」
    「と、友、だと思ってくれてたのか?」
    「そして、君を………」
    ぐ、と詰まるように一度口を閉じ、決心したように藍忘機は言った。
    「君を好いている」

    ポカンと温苑を胸に抱いたまま魏無羨は固まる。
    「え、と…俺も、お前の事、すき、だぞ。その、友達として………」
    「愛している」

    魏無羨は顔から火が出そうなほど恥ずかしくなった。自分には無関係だと思っていた感情が、いっきに胸の内側からあふれ出す。

    (そっちの好き…なのか?!)
    これまで一度もそのような熱烈な言葉を向けられたことはない。
    藍忘機はかまわず両手を広げ、幼子ごと魏無羨を抱えるように胸に抱き寄せた。
    「私に、君たちを守らせてくれ」
    藍忘機の声が耳元に響き、魏無羨は返事をするように藍忘機の袖を握った。

    藍忘機は魏無羨と阿苑を隠したあと、何事も無かったかのように仲間と共に姑蘇へ戻った。その後目立たないよう適当な町で服を着替え、魏無羨たちを隠している洞窟へ向かうという毎日を過ごしていた。

    「ひん…ひん…」
    「わるかった、わるかったよ。ぜんぶ羨兄のせいだ」
    洞窟に行くと、魏無羨が阿苑の頭を撫でて機嫌をとっていた。
    「どうした?」
    藍忘機は食材を地面に置き、桶の中の水で手を洗いながら聞く。
    「あ、藍湛……」
    「びぇ~ん」
    阿苑がタタタ、と藍忘機の背中にしがみつく。
    「俺が阿苑の魚にさ…その、美味くなるからさ、…ちょこっと辛いタレをかけてやったんだ。そしたら辛すぎたみたいで」
    「今から汁ものを作る」
    阿苑は泣きやみ、今度は嬉しそうに藍忘機の腕に抱き着いた。
    「蓮と肉…もしかして」
    「君が蓮の汁物が好物だと言っていたから」

    夷陵からも姑蘇からも遠く離れたこの洞窟で、藍忘機はかかさず食事を届けてくれている。その姿に魏無羨は感謝と、他の感情を抱き始めていた。

    「なぁ藍湛」
    藍忘機は視線だけを魏無羨に向けた。
    「俺の事、まだ好き?」

    コクリと頷く藍忘機に、魏無羨は顔をほころばせる。
    「俺、藍湛ならいいかなって………でも、本当は、男は論外なんだ。そういう対象で見たことがない。ちゃんとそういう…恋が出来るか不安もある。ただ、お前は俺好みの美人ちゃんだし、すごくいいやつで、一緒にいてドキドキすることもある。一度試してみたい事があるんだが、協力してくれないか?」
    「何をすればいい?」
    「まずは、抱きしめてみてくれ」
    藍忘機の素早さに驚いた。
    「ふふ、藍兄ちゃん、そんなに俺に触りたかったのか?」
    首元でコクリと藍忘機が頷く。
    (ああ、俺、大丈夫だ。ちゃんとコイツを好きになれる…いや、もう……お前の事…すごく…)
    「次は、ここにお前の口を当ててみてくれ。できるか?」
    人差し指で自分の唇をさした。藍忘機はぎこちなく、魏無羨に口づけをする。
    ゆっくりとはぐくんだ藍忘機への思いが溢れる。ちゅ、ちゅ…と何度か唇を啄み、目線を合わせる。愛しい、と魏無羨は思った。
    「藍湛、わかったよ」
    「どうだった?」
    藍忘機が少し緊張した面持ちで聞く。
    「よーっく聞け、藍忘機。俺はお前の事が………」
    ゴクリ、と藍忘機は喉を鳴らす。

    「おなかすいたー」
    阿苑が藍忘機の背中にべたりと張り付く。
    魏無羨はククク、と笑って藍忘機に頬にちゅっと口を付けて言った。
    「好きだよ、藍湛」
    * * *

    阿苑が寝つき、藍忘機は姑蘇へ戻った。静かな夜だった。満月の夜、魏無羨は決行した。
    陰虎符はこの世にあってはならないものだ。魏無羨は一人洞窟から離れた場所で印を組み、陰虎符を消滅させようとしていた。
    パン!と中央に亀裂が走り、片方が砕け散る。

    もう片方にも強い力をかけようとしたその時。
    腕に痛みを感じた。
    「な?!」
    犬に腕を噛まれていた。魏無羨は顔面蒼白になる。
    「は、放せ!!」
    全力で犬から腕を放そうとする。しかし犬は力強く、いっこうに魏無羨に立てた歯を緩めようとはしない。カタカタと手は震え、頭の中が恐怖でいっぱいになった。正常な判断ができない。

    「魏無羨!!」
    「江澄?!」

    江澄だけではない。その他の聶家、金家、藍家、それぞれの宗主がいた。
    江澄が言った。
    「はぁ…っ‥はぁっ…なぜこの場所がわかった…!?」
    犬は一匹だけではなかった。10匹はいる。
    100人以上の修士達に囲まれながら魏無羨は問うた。
    「ふん、犬の鼻はよく利く。知らないのか?」
    江澄が言った。

    * * *

    皆の様子がおかしい。
    「あ、藍二公子、今夜は天気が悪くなると占いで出ておりますから外へ行かない方がよろしかと」
    「ええ。そうです、そうです」
    このように、外へ出ようとすると弟子達が止めてくるのだ。一体どういうことかと、いぶかしむ。
    無理やり外に出ようとすると、兄弟子が止めにきた。叔父と兄は今日、本来なら弟子たちの修錬を見る予定になっていたはずだ。なぜこの場にいないのかと気になる。
    藍忘機は魏無羨が危機にさらされていると感づいた。


    * * *
    藍忘機は兄弟子達を気絶させ、急いで洞窟に向かった。複数の名だたる世家の修士達が倒れていた。その中には自分の叔父もいた。全員眠っていて、ケガをしているものは誰一人といない。しかし倒れている犬が口の中に加えているのは、藍忘機が魏無羨に与えた衣服の布の一部だ。
    焦る気持ちを抑えながら洞窟の中を確かめる。
    魏無羨の背中が見えた。心底安心し、魏無羨を後ろから抱きしめる。ぬるり、と手が滑った。
    「……魏嬰?」
    カフ、と魏嬰が血を吐いた。眠っている阿苑に血がこぼれる。
    「魏嬰!」
    ぐらりと魏無羨はうしろにいた藍忘機にもたれた。
    魏無羨は傷だらけだった。
    「なぜ…こんなことに………」
    藍忘機は気づかなかったのだ。
    夷陵老祖が隠れているかもしれないという情報が聶家と江家漏れてしまっていた事を。藍啓仁は甥が持つ魏無羨への気持ちを知っていた。藍忘機が夷陵老祖をまた隠すかもしれないと考え、今回の奇襲については藍忘機に伝えなかった。
    「らんじゃん、俺…もう駄目みたいだからさ…顔、よく見せて」
    剣で複数回突かれた胸と、噛まれた両腕からの出血が酷かった。そのうえ複数の矢が魏無羨に刺さった形跡があった。痛みで魏無羨は恐怖を飛ばし、笛でその場にいた全員を昏睡させたが、全てが遅かった。
    「完全に、油断…してた。陰虎符、壊す…のに、集中して…」
    金丹の無い体では回復が追いかない。どんな医者が来たとしても、この状態から助かるのは不可能だった。

    「魏嬰…なぜ、君ばかりがこのような…」
    「泣くな………お前の……笑った顔…見たい」
    「無理なことを……言うな……ッ」
    この状態で笑えるはずもない。霊力を送り、脈をはかる。ゆっくりと、確実に脈は止まろうとしている。
    「藍湛ごめんな………せめて形だけでも………婚儀、しとけば良かったな」
    魏無羨は血で塗れた手で藍忘機の頬に触れ、その涙を吸うように、口づけをした。
    藍忘機は声がつまり、何も言えない。涙を流し、血だらけの魏無羨を胸に抱き寄せる。

    「藍湛、俺の藍湛………愛してくれて……ありが…と」

    月夜に静かに照らされた魏無羨は幸せそうで、まるで眠っているようだった。
    二度と起きなくなってしまった最愛の人を藍忘機は一晩中抱きしめ、いつか生まれ変わったら、必ず共に添い遂げようと誓った。

    * * *
    あれから13年。魏無羨を亡くした傷は癒されず、まるで暗い海の中を彷徨っているような心地で生きていた。世の中は魏無羨が奪舎をしてでも蘇ってくるぞと騒いでいる。藍忘機はくだらない、とその考えを一蹴していた。他人を思いやる、熱い情を持った心優しいあの男が人の人生を奪ってまで生き返ろうとするわけがないと、藍忘機はわかっていたのだ。ただただ、毎日義務のように人を助け、生きていた。
    眩い光が放たれたのを確認した含光君は急いでその場へ向う。
    琴で攻撃をする態勢に入った。しかしすでに全ての事が済んでいた。
    到着した時、藍思追がわんわんと泣きながらある青年の胸で騒いでいるのが見えた。昔、阿苑と呼ばれていた時の藍思追を思い出す。藍思追が藍忘機を見つけ何か叫ぼうとしたのを、隣にいた青年が口を塞いだ。その青年は片目をパチンと瞬いた後、藍忘機を見ながら笛を口につけた。
    笛が悪いのか、音程はかなりはずれている。しかし藍忘機には彼が何の曲を奏でているのかすぐにわかった。

    藍忘機は青年の目の前に降り、抱きしめた。この曲を知る者はただひとり。

    「藍湛、戻ってきちゃった」
    「………魏嬰なのか?」
    他の者に聞こえないよう、藍忘機は小さく聞いた。

    「うん。なんなら兎でも描いて証明しようか」
    ニッ、とイタズラ好きそうな、魏無羨らしい顔で笑った。
    左手で藍忘機の背中に何かを書くようにグリグリと指を動かす。好き、と書いたようだ。
    「言っとくけど、奪舎じゃないからな?」
    藍忘機に小さな笑みが生まれる。彼を強く胸に抱き寄せる。同じように魏無羨の背中で指を動かし、返事をした。

    ~fin~




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