含光君があのまま夷陵老祖と逃避行してたらif早10日。藍忘機は魏無羨を連れ立って逃げ続けていた。
「藍湛…なぜ、俺を助ける」
「失せろ」以外の言葉に、藍忘機はハッとする。
「君と共に生きたいからだ」
魏無羨の意識はハッキリとしていた。身体中にズキンとした痛みを感じ、唇を噛んで堪える。
「藍湛がこんなに友を大事にできる男だったとは。俺の事は見放せ。お前まで殺されるぞ」
藍忘機の膝の上に頭を乗せたまま忠告した。恰好の悪い状況だが、仕方ないのだ。体と精神に相当な負担がかかっていた。
藍忘機に額を撫でられ、くすぐったそうに目を細める。
返ってきた藍忘機の言葉は予想外のものだった。
「本望だ」
魏無羨は目を見開いた。優しい日の光と緑の木々、そして今まで見た事もない表情の藍忘機が見える。愛おしい相手でも見ているような眼をしていた。
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