――また、何も言わずにいなくなってる。
思わずため息をついて、ぼやきたくなる気持ちもわかってほしい。
今回はいつにもまして短い滞在だった。
アーロンが港へ着く時間を知らせてくれたのは昨日の午後……到着する二時間前のことだ。プライベートのアドレスへメール一本で届けられた急すぎる連絡に目を丸くしたのを覚えている。当然のことながら、僕は仕事の最中で、迎えに行くことも出来やしなかった。
仕事が終わって慌てて帰ると、当然のような顔をしながらリビングのソファに腰掛けている相棒の姿が目に映る。大型の猫科の獣が身づくろいするようにゆったりした様子を目にして苦笑したばかりなのに、一晩明けて、今日の仕事が終わって帰ってくれば彼がいた気配さえ感じられない部屋が僕を待っていた。
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