Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    mari_zoh

    @mari_zoh

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 4

    mari_zoh

    ☆quiet follow

    アロルクワンライ お題「事故チュー」
    BONDの4人がわちゃわちゃしてるのが好きなのでチェズレイとモクマさんもいます

    #アロルク
    allRounder

    こいするゆうき

     オフィス・ナデシコ、ある日の昼下がり。捜査が一通り終了し、ナデシコからの指示を待つばかりとなったチームBONDの面々は俄かに生まれた空き時間、オフィスのリビングで和やかにお喋りに興じていた。今日の話題は、男子ならどうにも気になる筋肉事情である。
    「モクマさんは、体操選手みたいですよね。すごくしなやかで、無駄のない筋肉というか…ニンジャの方はみんなそうなんですか?」
     ホットチョコレートの入ったマグカップを大事そうに抱えたルークが、モクマの緩く開いた襟元から覗く胸筋に熱い眼差しを送る。
    「まぁ多数派ではあるかねぇ。けど中にはゴンゾウみたいないかついのもいるよ」
    「なるほど…」
     モクマの隣では、まるで名画を思わせるような雰囲気を醸し出しながら、チェズレイがつやつやと光る青磁のカップに注がれたコーヒーを飲んでいる。チェズレイにしか着こなせないオーダーメイドのスーツに隠された肢体は、ただ細いだけでないことは皆が知るところである。
    「チェズレイはファッションモデルみたいな体つきなのにどっからその力でてるの?ってとこあるよね」
    「ですよね!」
     感嘆の声をあげるモクマとルークに、チェズレイは老若男女全てを魅了する微笑みを浮かべその端正な唇を開いた。
    「ふふ……何なら、二人きりで隅々までお見せしましょうか?お二方」
    『いやいやいや大丈夫です!!』
     綺麗にハモった二人に目を細め、チェズレイは静かにカップをテーブルに置く。ホットチョコレートを啜るルークを品定めするように頭頂からつま先までじっくりと眺めた。
    「けれど、ボスもさすが元警官だけあってバランスよく鍛えていらっしゃいますね」
    「あはは、ありがとう。体力だけはある方だと思うんだけど―――…まぁ、アーロンと比べたら全然だけどね………」
     ルークの座るソファの肘置きを枕に、白眼を剥いて寝ているアーロンをちらりと見てルークは大きな溜息を吐いた。大きく裂けたシャツの隙間から覗く褐色の肌は、同じ男から見ても思わず吐息を漏らすほどの筋肉に覆われている。作りこんだものではない、命のかかった戦いの中で積み重ねられたその美しさといったら!
    「何というかその……男としての自信がボロボロになるというか……羨ましいというか……」
    「怪盗殿は肉体美だけは抜群ですからね」
     だけ、をやけに強調したチェズレイにルークは苦笑い。ふいにグガッ、と特徴的ないびきが止んで、アーロンの瞳がぼんやりと三人を見る。ゆらり、と動く視線はルークで止まり。
    「――――…おい、ドギー」
     ちょいちょい、と指先だけ動かす手招き。眉間に皺を寄せたチェズレイと、小首を傾げたモクマをよそにルークはいそいそとアーロンの足元へと寄っていった。
    「何だいアーロン」
     ちょこんとソファの前にしゃがんだ無防備なルークの両腕を掴み、アーロンが自分の胸の上に引き上げる。ソファに寝そべるアーロンの上にルークがうつぶせに乗って、その姿はまるで極東のアニメーション映画の光景に似ていた。あなた、トトロ?
    「って、こら、アーロン!!何するんだ!」
    「あぁ?ドギーは怪盗ビースト様の筋肉が好きでたまらねぇんだろ?今ならおさわりフリーだぜ。大サービスだ」
     ククッと低く笑うアーロンに、ルークはぼっと顔を赤くした。そんなつもりで言ったんじゃないよ!離せって!と胸の上でもだもだと暴れるルークを弄ぶアーロンだったが対面のチェズレイとモクマの何とも言えない生温かい視線に気づき、ばつが悪くなったのか掴んでいたルークの手を放り投げた。
    「うわっ!」
     支えを失った―――放り投げられたルークの腕は、当然の様に重力に従って下に落ちる。それは、腕だけでなく当然顔も身体も一緒についてくるわけで―――
    「おや」
    「ありゃありゃ」
     ゴチン!!と固いものがぶつかる音がして、ぐあぁ!とハモる二人のうめき声。顔の下半分を押さえて悶絶するアーロンの胸の上から転がり落ちたルークは床に蹲って震えている。
    「こっ…のクソドギー……!!」
    「っ……ぐぅ…ぼ、僕だけのせいじゃないだろ!」
    「おいおい大丈夫かい二人とも」
    「ボス、お怪我はありませんか?」
     モクマがアーロンの、チェズレイがルークの様子を窺うべく顔を覗き込むと二人ともが顔を真っ赤に染めている。唇の端には、何か固いものが掠めたのだろうか。薄く血が滲んでいる―――二人ともに。
    「おや、おや?」
    「あれれ」
    「これはこれは」
    「もしかして」
    「モクマさん」
    「チェズレイ」
    「私たちは」
    「お暇しようかねぇ」
     血が止まらないようでしたらこちらを、とテーブルの上に絆創膏二枚だけを残してそそくさと二人はリビングを出ていってしまった。残された二人は、お互いのじくじくと痛む唇の端を眺めてまた顔が熱くなる。
    「……事故だ」
    「うん、事故、だね」
     各々絆創膏を手に取り、痛みに顔を顰めながら貼り終えればまた顔を見合わせ、赤くした。捜査資料を抱えたナデシコがオフィスに戻るまで、二人の熱はじくじくと燻りつづける。

    ―――不慮の事故を故意にする勇気は、生まれる機会を今か今かと待っている。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤❤❤❤🎂💕💕💕👏☺👏💕💞❤☺❤☺❤👏☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    mari_zoh

    DONEアロルクワンライ お題「事故チュー」
    BONDの4人がわちゃわちゃしてるのが好きなのでチェズレイとモクマさんもいます
    こいするゆうき

     オフィス・ナデシコ、ある日の昼下がり。捜査が一通り終了し、ナデシコからの指示を待つばかりとなったチームBONDの面々は俄かに生まれた空き時間、オフィスのリビングで和やかにお喋りに興じていた。今日の話題は、男子ならどうにも気になる筋肉事情である。
    「モクマさんは、体操選手みたいですよね。すごくしなやかで、無駄のない筋肉というか…ニンジャの方はみんなそうなんですか?」
     ホットチョコレートの入ったマグカップを大事そうに抱えたルークが、モクマの緩く開いた襟元から覗く胸筋に熱い眼差しを送る。
    「まぁ多数派ではあるかねぇ。けど中にはゴンゾウみたいないかついのもいるよ」
    「なるほど…」
     モクマの隣では、まるで名画を思わせるような雰囲気を醸し出しながら、チェズレイがつやつやと光る青磁のカップに注がれたコーヒーを飲んでいる。チェズレイにしか着こなせないオーダーメイドのスーツに隠された肢体は、ただ細いだけでないことは皆が知るところである。
    「チェズレイはファッションモデルみたいな体つきなのにどっからその力でてるの?ってとこあるよね」
    「ですよね!」
     感嘆の声をあげるモクマとルーク 2120

    related works

    recommended works