××のきもち(仮)──日本は四季が存在する地域だ。
秋と呼ばれる季節にもなれば月は美しく輝き、夜気は心地よい。散歩にはまさに、うってつけの季節となる。
「…、さんぽ?こう…ここを?アンタと…ふたりで?」
「そうそう。首輪付けて、四つん這い。どう、楽しそ」
言い終わる前に殴り合いが発生した。
こういった激しめの運動が発生しても汗も少なくなり、運動会が開かれるのもよく分かる。
「だからそうはならんでしょ…なんでそーなったん…?ふっっつーに嫌なんだけど…。
その、さ。毎回思うけどそいう何、癖っつーか発想すごすぎん?何食ったらそーいうの出てくるん?
もしかしてその呪いのマズ玉飲み込んでる術のせい?性癖歪んでんじゃねえ?マジやめた方がいーよ…」
「…ふは、っ。なんで君がコレの味に言及するのか知ったことじゃないけれど。
…勿論断ってもいいよ。ただもし君がここで帰るなら、」
宿儺の指を飲んだ虎杖からも逆三ツ星の評価を無事頂いた黒い玉が浮かび上がる。
「ん、あそこの繁華街かな。『娘』たちと限定フルーツパフェを食べに行ったのだけど…やっぱり猿、多すぎるんだよな、ああ思い出しただけでも怖気がする。
──軽く三分の一にしたってバチ当たらないだろ?ま、当てるのは私だけどね。」
「…っやめろ!」
掴みかかる虎杖をアッサリ避け、腕をきめ押さえつけの体勢。
「グ…っ!」
「え?虎杖君もしかしてこの期に及んで自分に僅かにでも決定権があると思っている?こんなアッサリ秒殺で抑え込まれといて?本当におめでたいよねえ。」
「ックソ…セーカクも歪んでんじゃん…つかやっぱ呪いってどれもクソマズなんじゃんか。食うもんじゃねーよ…」
「ふふ、心温かな要らぬ御心配ありがとうね?…帰れば君が助かって猿が減る。帰らなければ君の『尊い犠牲』で猿は減らない。いつも君がこなす任務と同じだ。ひとつ得てひとつ失う。…とってもとーっても、わかりやすいだろ?」
声に悪辣をわざとらしくトッピングしたような、仰々しさで。
「──で、どうする?逃げる?…私に、従う?」